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 明治維新は、日本人の意識を大きく変革しました。「外国人に見られると恥ずかしい」という理由で、夜這いや銭湯の混浴、裸の露出は次々と禁じられていきました。だから、明治時代の初めには、「裸で表に出ることを許可せよ」と訴える一揆が何度も起こっています。一般人からすると、暑い夏でも着衣を強制されることは、大変な苦痛だったのでしょう。

 といっても、明治維新ですべてが変わってしまったわけではありません。

 1920年(大正9)頃にアメリカの社会学者ジョンズが新潟県のある村を調査したところ、結婚した時に処女だった娘はわずか1~2パーセントだったと言います。また、熊本県のある村の村長の妻は、「娘はみんな結婚前にセックスしている」と断言しています。さらに、この村に住んでいる男女の10パーセント近くが、私生児だったと言われています。

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※写真はイメージです ©iStock.com

 Hentai(アダルトアニメ)、メイド喫茶、露出の多いコスプレなど、現代日本の性の奔放さは世界に轟いていますが、それは昔から大して変わっていないということがわかります。「昔の日本人は慎みがあったが、最近の若い者は……」などという慨嘆はただのノスタルジーであり、まったく実態に即していないのです。

世界の奇習を楽しもう

※写真はイメージです ©iStock.com

 誰も気づかないうちに、いつのまにか日本は世界でも有数の移民社会になっています。

 すでに300万人以上の移民がこの国に入り込んでいます。コンビニでスリランカ人やベトナム人が働いていたり、スーパーに行くと当たり前のようにハラール(イスラム教徒向け)食品が売られていたり、わずかなスペースにモスク(イスラム礼拝所)が設けられているのを、私たちは日常的に目撃しています。

 日本では少子化がしきりに嘆かれていて、なんとか出生率を上げねばならない、などと叫ばれていますが、それは利己的な主張です。

 世界人口はもはや80億人近くに上り、人類は増えすぎているのです。むしろ少子化は喜ぶべきことであり、積極的に人口を減らしていかねばなりません。日本だけ労働力が不足しているというのなら、外部から招き入れるしかないのです。人口問題は環境問題と同じで、地球規模で考えるべきです。国家のエゴイズムだけを推し進めていけば、間違いなく地球は破滅します。

 交通機関やインターネットの発達により、人類は肉体も思想も、簡単に移動できる時代になっています。しかし、これで世界は一つになり、差別や偏見はなくなる……かと思いきや、必ずしもそうではなく、むしろレイシズムや差別主義が一部で沸騰するという、不可解な状況になっている。これは不自然かつ不健康な事態です。

 肉体も文化も、できる限り無秩序に融合させたほうがいい。ゲルマン民族の純潔を目指し、ホロコーストを起こしたナチスの第三帝国は、わずか12年で崩壊しました。純粋なものは、それだけ脆く滅びやすいのです。私たちは、私たちから見れば奇妙に見える世界の風習を楽しみながら、それらと柔軟に交際していくべきでしょう。

世界の性習俗 (角川新書)

杉岡 幸徳

KADOKAWA

2020年4月10日 発売