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 一方、長時間労働を解消し、新しい雇用を創出するために時間外労働の上限を規制する「週52時間勤務制」も実施された。一部の労働者は残業時間が減ることにより、ワーク・ライフ・バランスが実現しやすくなり、また新しい雇用も生まれた。しかしながら労働時間の制限により賃金が大きく減少してしまう労働者も現れることとなった。

文在寅政権の経済対策の行く末は(写真はイメージ) ©︎iStock.com

 特に、製造業で働く労働者の場合は生活水準を維持するために時間外労働をするケースが多かったので、時間外労働の上限規制による打撃は大きかった。また、与えられた時間内に仕事が終わらず、仕事を持ち帰り家やカフェなどで仕事をする隠れ残業も増加した。こうした背景の中、2019年の失業率は3.8%まで上昇し、非正規労働者の割合も36.4%まで上昇した。所得格差も拡大傾向にある。

 このような厳しい状況の中で、文在寅大統領にとって追い風となったのが、2月29日には909人まで増加した新型コロナウイルスの1日の感染者数の減少だ。

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 具体的には、軽症者を隔離する「生活治療センター」の設置により医療崩壊を防ぎ、ドライブスルー検査をはじめとする積極的な検査対策により感染拡大を最小化したことなどが評価された。

 その結果3月1週目には48.1%まで低下した大統領の支持率は4月1週目には53.7%まで上昇し、冒頭で紹介したとおり、4月15日に行われた総選挙では、文在寅大統領を支持する勢力が圧勝することになった。

文政権は経済政策の修正を

 しかし、経済成長、格差税制など、文在寅政権が解決すべき経済的な課題は山積している。

 これまで分析してきたとおり、新型コロナウイルスの影響により、対外依存度が高い韓国経済の今後は厳しい。さらに所得主導成長論に基づいたばらまき政策が続くことが予想され、財政赤字が大きく拡大されるのではないか心配だ。

 したがって、文在寅大統領は、所得主導成長論を中心とした経済政策を抜本的に修正し、規制を緩和するなど企業が投資しやすく、また、成長できる環境を構築すべきである。

 残りの2年という限られた時間の中で、何をすれば国民の満足度がより高まるのか、慎重に考えて行動に移す必要がある。文在寅大統領の指導力や力量が問われるところである。