賛成だけど「あまりに決断が遅すぎた」
さらに、国民一律10万円給付に「賛成」としながらも、政府の遅すぎる対応などに疑問の声を上げる人もいた。
<遅いくらいです。明日の生活に関わってくる人も出てきている状況で、国にはもっと早く対策を講じて欲しかった>(男性・37)
<賛成だが遅すぎる。休校宣言・イベント自粛をしたのが2月末で、次に外出自粛要請と続き、すでに2ヶ月が経っている。4月には、国民に行き渡る補償をしてほしかった>(女性・45)
<「まずは手元に迅速に」という意味で一律10万円となったのは評価するが、もっと早くその決断をすべきだった>(男性・61)
「あまりに決断が遅すぎました。すでに国民や野党から散々批判の声が上がっていたにも関わらず、方向転換が遅れたことにより、少なくとも1週間は補正予算案の成立が遅れています。当初から10万円給付にしていれば、もっと早くに給付を開始できたかもしれない。
そもそも、全ての新型コロナウイルス感染症の対策に関して、3月末に成立した通常予算(当初予算)の審議の過程で、『(コロナ対策を盛り込む)修正をすべきだ』という意見があちこちから出ていたんです。ところが、そこで修正をしなかった。これによって、補正予算案の成立も1ヶ月以上遅れることになったわけです」(伊藤氏)
生活困窮者を支援するNPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典氏も「本当に遅すぎると思います」と、現場で聞いた生の声を教えてくれた。
「我々のもとには、3月、4月の時点で、『家賃や電気・ガス・水道代といった公共料金などの支払いが厳しい』という相談が殺到していました。新型コロナウイルスはもう災害と言っていいほど、甚大な影響を及ぼしています。生活に影響が出始めてから2ヶ月以上も経って、『やっとか』というのが率直な感想です」
「1回10万円の給付金ではどうしようもない」
そして、外出自粛が長期化するなか、「10万円1回きりでは足りない!」という意見も続く。
<給付には賛成だし、助かるのは間違いないが、店は休業、給料激減。ランニングコストはこれからも変わらない。1回10万円の給付金ではどうしようもない>(男性・62)
<1人10万円の一律給付には大賛成。更に言えば、条件付きの30万円給付もそのまま行うべきだったと思う>(男性・51)
<緊急の対策として良い判断だと思うが、これだけでは不十分。第2、第3の給付が必要だと思う>(女性・43)
伊藤氏も「次の政策のための準備を早急に進めるべき」だと主張する。
「もし同時並行的に、日本が次の対策を講じるのであれば、低所得の人に重点的な補償ができる仕組みを早急に議論する必要があります。第2、第3の支援策も『一律10万円』で正しいのかという点も、早急に検討すべき問題です」
また、藤田氏は「現物(サービス)給付が必要」だという。
「現金給付も必要ですが、それだけでは足りない。今、日本では1人世帯・2人世帯が圧倒的に多く、大家族は少なくなっている傾向があります。給付金を世帯ごとに受け取るとなると、1世帯あたり10万~30万円程度。しかし、今回の新型コロナウイルスによる被害の大きさを考えると、十分とは言い難い。
現金給付は使い勝手が良いので望む声は多いと思いますが、今後は『現物(サービス)給付』として、『家賃』や『公共料金(電気・ガス・水道)』への補助が必要だと思います」
では、次に圧倒的に少なかった「反対派」の意見を見ていく。