昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

わたしの「神回」

「あいみょんが官能小説を…」37年半1800回『タモリ倶楽部』“鉄道以外の”神回を振り返る

2020/05/01

 私の住む地域では『タモリ倶楽部』はキー局のテレビ朝日より約2カ月遅れで、土曜深夜に放送されている。先週(4月25日)放送されたのは、テレ朝で3月6日に放送されたバニーガールがテーマの回だった。一方、テレ朝では、先々週(同17日)、先週(同24日)と、過去の回をまとめた総集編があいついで放送されたと聞いた。

 折しも、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、テレビ各局では多くのドラマやバラエティの収録が中断されている。『タモリ倶楽部』でもテレ朝での4月10日の放送で、人気コーナー「空耳アワー」が一旦休止されると発表されるや、コロナのせいではないかと憶測を呼んだ。それだけに、2週にわたっての総集編もてっきり時節柄そうなったのかと思いきや、よくよく確認してみると、4月17日は鉄道ファンの芸能人らによる「タモリ電車クラブ」の結成15年目、24日は放送1800回と、いずれも節目を記念して過去を振り返ったものだった。テレ朝では、きょう(5月1日)深夜の放送より、また通常の回に戻るようだ。

今年8月に75歳になるタモリ。『タモリ倶楽部』は1982年10月、タモリが37歳のときに始まった ©文藝春秋

 もっとも、たとえ感染拡大の影響を受け、ロケができなかったり、出演者を集められなかったりしても、『タモリ倶楽部』ならそれを逆手にとった企画をやってくれるのではないか。何しろ10年ほど前には、地上波デジタル放送移行を目前にしながら、予算の都合などからHD化が遅れていたのをあえてネタにして、「『タモリ倶楽部』にHD化は必要か」という企画を組んだこともあったぐらいだ。おそらく今回も、もし出演者がリモートで登場せざるをえなくても、家飲みなどをテーマに乗り切ってしまいそうではある。

鉄道テーマだけど“スタジオ収録だけ”だった回

 さて、当記事では『タモリ倶楽部』の神回をあげていこうと思うのだが、考えてみれば、この番組に神回という言葉はあまり似合わないような気がする。それというのも、神回に必要な条件を、『タモリ倶楽部』はことごとく欠いているからだ。ときに盛り上がる場面こそあるものの、全体的に淡々と進行するし、視聴者としても、強烈なインパクトを受けて眠れなくなるということはほぼない(たまに「空耳アワー」でやたらとツボにハマるネタがあったりはするが)。この点、同じく深夜の長寿番組でも、関西発の『探偵!ナイトスクープ』とは異なる。

 例外的に鉄道をテーマにしたロケ回は、毎回、終始ハイテンションで進行するものの、そもそも出演者の大半が熱烈な鉄道ファンであり、迎える側の鉄道会社も至れり尽くせりの対応をしているのだからそうなるのは当然だろう。それゆえ、視聴者からすると意外性はなく、神回と呼ぶのはためらわれる。