文春オンライン

わたしの「神回」

2020/05/01

 個人的にはむしろ、鉄道企画が目立ち始めた2000年代初めに、小田急ロマンスカーの運転台から撮ったビデオを見ながらタモリがあれこれ語ったり、10年ほど前には、やはり鉄道ファンだった俳優の原田芳雄が豪華寝台特急「カシオペア」に乗った体験談を披露したりと、スタジオ収録だけで持たせた回のほうが思い出深い。

豪華寝台特急「カシオペア」に乗った体験談を披露した俳優・原田芳雄 ©文藝春秋

 ちなみにテレ朝の公式サイトの番組紹介ページには、一応バックナンバーがリストアップされてはいるものの、さかのぼれるのは2年前まで。ウェブ上にはファンのつくったリストもあるが、そこでカバーされているのも、37年半におよぶ番組の歴史のうち一時期にすぎない。そんなわけで、ここでは私のあいまいな記憶をもとに、ネットにあがっている情報で補完しながら、『タモリ倶楽部』の名企画を振り返ってみたい。

ローリング・ストーンズのドーム公演の“おこぼれ”を聴く回

『タモリ倶楽部』でとりあげられるテーマには、タモリがモダンジャズに造詣が深いだけに音楽ものも多い。たとえば、来日したローリング・ストーンズの東京ドーム公演を、出演者たちが近くのビルの一室に陣取って、会場からかすかに漏れてくる曲を聴こうという、低予算番組ならではのセコい企画があったかと思えば、現代音楽の巨匠ジョン・ケージの難解な曲をピアノで演奏しようという妙に高尚な回もあった。

1945年8月22日生まれのタモリ。早稲田大学在学中はモダンジャズ研究会に在籍、トランペットを担当

 深夜ならではのお色気系の企画も、『タモリ倶楽部』にかかれば、やけに高尚になったりする。ダッチワイフの開発秘話をとりあげるのに、その名も「プロジェクトSEX 性の挑戦者たち~シリコンの女神を創った男達」と題してNHKのあの人気番組をミもフタもなくパロディにした回は、かなり力が入っていて、放送批評懇談会のギャラクシー賞にも選ばれた。