店頭に並ぶプラレールのパーツ群にも「設計思想」があり、それを読み解くと狭いスペースでもレイアウトを楽しめる。プラレールの解説書「パパママのためのプラレール線形幾何学」を読んで、目から鱗が落ちた。著者は空転さん。エンジニア、デザイナー、ライターで、プラレールの個人サークル「空転ワークス」を主宰し、プラレーラー集団「ぺたぞうでんしゃ王国」ではでんしゃエンジニア・デザイナーを担当する。
あえて「縛りプレイ」で「厳密にレールシステムを守る」
――プラレールの線路パーツをシステムとして捉えるという視点に感動しました。限られた面積で、エンドレス(周回レイアウト)を作って、複数の列車をきちんと走らせる。これパズルっぽくて賢くなりそう。
空転 レイアウトを一畳に収める「一畳プラレール」というのは、プラレールの達人ぺたぞうさんが提唱したものです。
部屋いっぱいに自由にレールをつなげるのももちろん正しい遊び方ですし、プラレールの魅力を十分楽しめます。それをあえて「縛りプレイ」で「厳密にレールシステムを守る」と、プラレールの本質が見えてくると思います。おっしゃる通り、それをパズルのように楽しめるのは、子どもよりも数学の知識がある大人の特権ですよね。
――鉄道模型では、日本の住宅事情で楽しむジオラマとして一畳サイズ「900mm×1800mm」が定番のひとつです。プラレールの開発販売元のタカラトミーも、「TOMIX」ブランドの鉄道模型メーカー「トミーテック」がありますよね。「パパママのためのプラレール線形幾何学」を拝読して、TOMIXが発行している「レイアウトプラン集」や、レイアウトを設計するための「レイアウト定規」を思い出しました。
空転 TOMIXは基本のカーブレールを8本つなぐと円になるレールシステムです。メーカーが提案するレイアウトのパターンは豊富で、詳細な解説書も用意されています。プラレールも8本で円になるカーブレールとその半径の長さの直線レールが基本です。一見単純に見えますが、実は知育玩具としてかなり計算されて作られています。
でも当時は、公式サイトやセット販売のレイアウトは小判型(楕円)の変化形ばかり。じゃあ自分たちが研究してきたことを本にしてみよう、という感じで同人誌を作りました。最近はタカラトミーさんもオリジナルレイアウトの作り方にも力を入れ始めていて、プラレールコンシェルジュというサイトを作っていますね。