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達人がたどり着いた「プラレール線形幾何学」の極意とは

達人がたどり着いた「プラレール線形幾何学」の極意とは

プラレール達人に聞く #2:空転さん

2020/05/31
note

プラレールの体験と感覚が、将来学ぶ数学に繋がっていく

――「プラレール線形幾何学」の実践って、ビジネスで言うところの「Plan Do See」ですよね。計画を立てて、組み上げて、予想どおりに走ると達成感があります。親子で実践すると、子どもは「Plan Do See」を体験できます。

パターンを組み合わせて幾何学模様を描く(「パパママのためのプラレール線形幾何学」より)

空転 うちの息子はまだ3歳になったばかりで、レールを上手につなげませんが、親が作っているのをしっかり見ているんですね。いつの間にか同じものが作れるようになっていたりします。保育園児に座標や三角関数の話をしても当然伝わりませんが(笑)、プラレールでよく遊ぶ子は「なぜかは分からないけどこうすればつながる!」という体験と感覚を知っているんです。自分がそうだったように、将来大きくなって数学を学んだときにプラレールを思い出して、「あのレールのつなぎ方は、こういうことだったんだ!」とか思ってくれたら良いなぁ、なんて考えています(笑)。

 プラレールのイベントを開催するときに、子どもが自由にレールをつなげるエリアを作るんです。ふと見ると、自分たちが作ったレイアウトを模した大作ができている。細かいテクニックまでしっかり再現していて、よく見ているなぁと驚かされます。まずは大人が本気で楽しんで見せ、子どもが自然にそれを真似する……というのが理想の教育かななんて思っています。

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タカラトミーが発売しているプラレール。昨年、60周年を迎えている(タカラトミー商品ページより)

「シンプルなレイアウトが一番好きです」

――好きなレール、苦手なレールはありますか。

空転 好きなレールは曲線レールと直線レール、坂直線レールがトップ3ですね。この3種類があればなんでも作れます(笑)。特殊なレールも楽しいですが、やはり基本部品だけで作るシンプルなレイアウトが一番好きです。複線系のレールは苦手です。複線で電車が走るのはカッコいいんですが、ほかのレールと規格が少し違って繋がりにくい。でも、レールを組み合わせると克服できる場合も多いので、もっと研究してみたいところです。

 空転さんの名著「パパママのためのプラレール線形幾何学」は期間限定で無料公開中。図入りで詳しく説明されているので、この機会にぜひご一読を。立体レイアウトを指南する続編「パパママのためのプラレール積層線形学」は715円(税別)、両著の実践編「実例で分かる!パパママのためのプラレールレイアウト講座1」は1000円(税別)で販売されている。詳しくは空転ワークスの公式サイトへ。