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連載サウナ人生、波乱万蒸。

32歳で12億円の借金……大切なものを失ったDJが「御船山楽園ホテル」で“究極のサウナ”を目指すまで

32歳で12億円の借金……大切なものを失ったDJが「御船山楽園ホテル」で“究極のサウナ”を目指すまで

デジタルアート・自然・サウナの融合は“天国の黙示録”

2020/05/31
note

 スマートシティ的発想で、サウナを中心に据えながら小原が思い描く、未来の湯治場――。その建設は着々と進んでいる。

「御船山楽園ホテルの女性大浴場も只今リニューアル工事をやっていまして、まもなく完成予定です。宿泊客は入替制(夕夜・朝)、立ち寄り入浴も人数、時間制限の2部制で受け入れます。大浴場内に暖炉付き喫茶(休憩室)も作ります」

建築中の女性用のサウナ室。宇宙をほうふつとさせる空間。これは絶対にととのえるはず

サウナが人々の心をほどき、不安を解放してくれるはず

 28歳で事業承継、32歳で代表取締役に就任した小原は、幾多の艱難辛苦を乗り越え、自分が幼い頃から眺めてきた御船山楽園という自分のホームランドに、15年余をかけてコツコツと“理想の楽園”を作り上げてきた。

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「今まですごく苦しい中での経営から立て直すために『やらざるを得ない』ということも沢山ありました。そこから解放されつつある今は、限られた経営者としての時間の中で、自分と社会がマッチングできる『いいもの・好きなもの』にだけ取り組んでいけたらいいなと思っているんです」

 荘厳な岩肌を望む外気浴スペースで、小原は続ける。

「来年か再来年には男女で入れる薪サウナも建設予定です。武雄の間伐材の薪を使い、御船山のサウナストーンで温めて、御船山の地下水でロウリュができるサステイナブルなサウナを目指します。それから露天風呂屋根の2階部分に森と星々を望む休憩室を作る予定なんです。

女性用スチームサウナ室。利休の茶室のような男性用とは真逆の開放感あふれる室内

 このコロナ禍で人々はどんどんネガティブな気持ちになり、精神的にも肉体的にも弱っていると思います。サウナに入ることは少なからず人々の心をほどき、不安を解放してくれることに役立つと信じています。私も苦労は沢山ありますけど、サウナに入って休憩しながら夜空を眺めていると、大抵のことはどうでもよくなります。私にはまだやることが沢山あるんです」

 御船山楽園ホテル、らかんの湯。理想郷の完成を目指す小原大佐のあくなき挑戦は、まだ始まったばかりだ。

INFORMATION

御船山楽園ホテル

住所 佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100

男女浴場の大幅リニューアルにより7月から、完全予約制による待望の日帰り入浴が可能に。6月下旬より営業開始予定。最新情報は公式HPをご確認ください。

https://www.mifuneyama.co.jp/

32歳で12億円の借金……大切なものを失ったDJが「御船山楽園ホテル」で“究極のサウナ”を目指すまで

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