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ピピピクラブ、雑誌コラム……「TV Bros.」定期刊行終了から読み解く“雑誌ビジネスが抱える問題”

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである #1

テレビブロスが2020年4月号をもって定期刊行終了

おぐら 雑誌TV Bros.(テレビブロス)が、2020年4月号をもって定期刊行を終了しました。

速水 それを受けて、4月24日には総集編と題した特大号が発売されたね。店頭でこれを見て終わるんだって、驚いた人も多かったと思う。

TV Bros.がみなさまに感謝を込めて…忌野清志郎、川勝正幸、ナンシー関、スチャダラパーから爆笑問題、chelmicoまで、約33年の総決算!「TV Bros.総集編特大号」発売!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001010.000006568.html

おぐら 1987年の創刊から、およそ33年の歴史を振り返る号でした。

速水 店頭でこれを見て終わるんだって、驚いた人も多かったと思う。

おぐら 僕自身、編集部に所属する編集部員だったので、5月いっぱいはコロナとのダブルパンチで、だいぶ落ち込んでいました。

速水 おぐら君は何年くらいブロスの編集部にいたの?

おぐら 2009年にライターとして原稿を書くようになって、編集部に入ったのは2010年です。

速水 ざっと10年か。でもここまでよくもったほうだと思うよ。

TV Bros.総集編特大号(表紙より)

おぐら 今回の定期刊行終了に至る前、大きな転換点は、2018年の4月に月刊誌になった時ですね。テレビ雑誌としての支柱だった番組表を載せなくなり、カラーのグラビアページが増え、価格も倍近くなった時ですね。

『TV Bros.』月刊化リニューアル第1号、表紙に細野晴臣&星野源が登場
https://www.cinra.net/news/20180420-tvbros

速水 そのリニューアルの時点で、伝統的なブロスは終わっていたとも言えるよね。

おぐら 雑誌自体のファンではなく、表紙とグラビアを飾る人のファンが買う、という構造になりました。

速水 表紙に人気者が出ていることで、ある程度の売り上げは担保できるだろうけど、それってカンフル剤でしかなくて、根本的な解決策じゃない。

おぐら 表紙の人選が最大の課題で、人気者をブッキングできなければ、その時点で売り上げが一気に転落するという。

速水 雑誌だけじゃなく、そういうビジネスモデルでどうにかやっているところはいくつもあるけど、健全とは思えないよね。表紙のタレントを応援したい人が、雑誌を買うことで推しの立場を上げようってことでしょ。雑誌の側もそれを織り込んで表紙に起用する。中身に関しては二の次になる構造。

お金を払ってない人が「ファンです」って普通に言う時代

おぐら 定期刊行終了のニュースが出た後、ツイッターにある反響を読んで分析してみたんですよ。だいたい3つの傾向があって、1つは自分が好きだった頃の思い出を語るタイプ。忌野清志郎や電気グルーヴ、コーネリアスやキリンジなど、かつての連載陣が好きで読んでいたこと、あるいは「ピピピクラブに採用されました」といったような。対象となる年代は90年代後半が多かったですね。

速水 その年代に、雑誌に勢いがあって、ファンもいたってことの証拠だね。

忌野清志郎 ©文藝春秋

おぐら 2つ目は、「もう10年以上買ってなかった」とか「リニューアルしてたんだ」といった、もう何年、何十年も買ってなかったことの独白。

速水 衰退を如実に表してる。

おぐら そして3つ目は、「さびしいです」「悲しいです」という嘆き。あえて分類しましたけど、この3つがセットになっているケースも多々あって、つまり「昔は読んでました」「もう何年も読んでません」「なくなるのは惜しいです」という。

速水 そりゃあ終わるよねって感じだね。

おぐら もはやノスタルジーの中での存在感のほうが圧倒的に強い。