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「このまま私が出演を続けてよいのか」産休入りNEWS23小川彩佳がコロナ禍の葛藤を明かした

2020/07/03

〈お腹の命の胎動と温もりを感じながら毎晩ニュースをお伝えして参りましたが、今週いっぱいをもちましてしばらく番組をお休みすることになります。コロナ禍の出産ということで、家族の立ち合いはなく面会も制限されるようです。不安もありますが、まずは無事出産を終えられることを願いつつ、再び『NEWS23』で皆様にお目にかかれる日を楽しみにしております〉

 メインキャスターを務めるTBS『NEWS23』のツイッターを通じ、本日7月3日(金)の放送を最後に産休入りすることを発表した小川彩佳アナ。「週刊文春WOMAN」2020夏号では、緊急事態宣言下の電話インタビューで、身重の体でコロナ禍にキャスターを務める中での葛藤、覚悟を明かしていた。

◆ ◆ ◆

 始まりは「謎の肺炎」でした。今年1月7日、TBS『NEWS23』ではカルロス・ゴーン被告の海外逃亡、桜を見る会、経済界の新年祝賀パーティーなどを取り上げ、最後に「中国・武漢市で原因不明の肺炎が発生し厚労省が注意を呼びかけている」とお伝えしています。

 いったい何なんだろうと気にはなりましたが、これが今日のパンデミックの端緒となるニュースであるとは想像もしていませんでした。 私たちはこの日から、ニュースの伝え手として、前例なき手探りの歩みを始めることになります。

 2日後に原因となるウイルスが検出され、翌週は国内で武漢出身の男性の感染がわかったことで、いよいよ「謎の肺炎」は国内の出来事になり、その呼び名も「新型コロナウイルス感染症」に変わって、ニュースがコロナ一色になっていきます。

小川 彩佳(NEWS23キャスター)

 

 当初はこの未知のウイルスについて一次情報はどこにあるのか、どこをたどっていけば正しい情報に行き着くのか、なかなかわからないなかで取材していかなければならない状況でした。感染症の専門家の見解も、最初はヒトからヒトへの感染はないということでしたが、それが、感染するが感染力は弱い、感染する、感染力が強い、と変わっていく。これは非常に恐ろしい経験でした。

 その時々の精一杯を尽くしていたつもりではありますが、新たな知見が既出の情報を次々と覆し、さまざまな新説が出てくるなか、1週間前に私たちは正しい情報を伝えられていなかったのかもしれない。自分がどんな言葉でどうお伝えしてきたか、これは今後個人的に振り返って精査したいと思っていることです。 

 コロナ禍は、報道機関の中にいる私たち自身に降りかかるものでもありました。3月31日、TBSの局内で感染者が確認されると、さまざまな放送対応が話し合われました。私は2月末に妊娠を公表していたので、翌朝かかってきた電話を取るときは、私はもう出演できなくなるのかもしれない、と放送に穴を開けてしまうことへの不安がよぎりました。

 ところが、電話は家の中に中継できる場所を確保できるか、どういう機材を持ち込めるかという問い合わせで、お答えしているうちに、バタバタといつものスタジオを離れた場所から出演する態勢が整えられていきました。こうして私は他番組に先駆け、遠隔出演でニュースをお伝えすることになったのです。

発売中の『週刊文春WOMAN vol.6 (2020夏号) 』

 もともと、妊娠した身で働いているということについては、スタッフに気を遣わせているのではないかという罪悪感のようなものが常にありました。ですから、こうした配慮で出演を継続させていただけたことは、一人の働く妊婦として、大変有難いことでした。