かつて薬師丸ひろ子は「さよならは 別れの言葉じゃなくて 再び逢うまでの 遠い約束」と歌い上げておりましたが、今回の主題はセーラー服でも機関銃でもなく、さよならになってしまいかねない東京オリンピックと公明党の話です。
与党政治に、批判的かつ健全に関与してきた公明党
はじめに断っておきますと、私はキリスト教徒(プロテスタント)ですが、公明党がいいなと思っています。創価学会がどうとかではなく、何かにつけ暴走しがちな自由民主党が政権を取るにあたって、公明党のような程よいブレーキ役がいて初めて巡航運転ができる面もありますし、実質的に与党内野党として本当に健全に自民党による与党政治に批判的に関与できているのは公明党だけなんじゃないかと思っています。
思い返していただきたい。さかのぼることちょうど5年前の2015年7月、平和安全法制で騒ぎが起きていました。自衛隊法、周辺事態法、船舶検査活動法、国連PKO協力法など、日本の安全保障を考えるうえで重要な法案が立て続けに審議される中で、与野党の論戦のなか最後まで中心にいた中には公明党もいました。与党だし最後は賛成するんだけど、自民党各位からすれば公明党の愚直なまでの平和路線に対してギリギリと歯がみしながらも議論に応じざるを得なかった。でも、あのときの議事や資料をいま見返すと、健全野党とは実は公明党の事だったんじゃないかとすら思うんですよね。
一足飛びに安保法制をがっつり進めることはできなかったけど、日本で必要な議論はしっかりと行えて、自公含む5党で成立した「平和安全法制についての合意書」はいつ読んでもなかなか良い理念を提示していると思います。
中国がきな臭くなり、ややこしいことをおっぱじめそうな今
時は下って2020年なう(死語)。安倍政権も終盤に差し掛かり、我らが宰相・安倍晋三さんの動きがなんかヘンです。その嚆矢はイージス・アショアをめぐる議論の中で、ポスト安倍ちゃんの最右翼である岸田文雄さんと、防衛大臣になっちゃった河野太郎さんを巻き込んだ敵基地攻撃能力に関する議論でございますね。
岸田氏、敵基地攻撃で問われる手腕 自公調整、ポスト安倍へ試練:時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020062900867&g=pol
もちろん、自民党の党内議論として「先制攻撃」すなわち敵基地攻撃能力に関する論点は大変デリケートなものであります。なんてったって、いままでは「攻撃されるまで、反撃しちゃいけない自衛隊」という大前提を当たり前のようにして我が国の安全保障は語られてきたわけですからな。
しかしながら、お隣の中国さんがきな臭くなり、香港だ台湾だチベットだウイグルだ朝鮮半島だ南シナ海だとややこしいことをおっぱじめそうだ、しかも米中対立はいずれ冷戦になるぞと言われれば、日本の伝統芸にして最先端兵器である「平和憲法第9条シールド」ではどうにもならなくなります。憲法第9条なんて日本国内のことに過ぎず、海外から見れば「日本は平和憲法に縛り付けられているから強くは出られないだろう」とナメられる原因になってるんじゃないかと思うのですが、国内ではもはや宗教みたいになってると思うんですよね。