自民党から「敵基地を先制攻撃したい」と言われたら
これでうっかり朝鮮半島でも統一されて中国側に転ばれたら対馬海峡が米中対立の最前線になり、福岡がソウルみたいになるんですよ。こりゃもう鎮西探題作って元寇防塁築くしかないですね。
でも来るのはミサイルですし、仮想敵の中国や朝鮮半島の皆さんは行儀よく福岡から上陸してきてくださるとは限らない。さらに、ミサイルたくさん打ち込まれたら反撃する間もなく死ぬ。だからこそ、ミサイルを撃たれるかどうかを察知して撃ち落とすだけでなく、なんかそういう変な挙動があったらミサイルのある敵基地も躊躇なくぶん殴らなければならないわけですよ。
そういう議論って、確かに現実の安全保障に関する重要なテーマではあるけれど「なんか敵がミサイル撃ってきそうだから先に攻撃しますわ」と言われたらワシらの憲法9条はどうなっちゃうの。これ、憲法9条を守る会とかやってる皆さん憤死しかねない勢いですよね。
そして、平和憲法を愛する公明党はこんな議論を受け入れられるのか。公明党を岸田文雄さんは説得できるのか。ここで説得できなければ、もうすぐ手の届くところに来ている総理大臣の椅子はキャスターつけてコロコロ逃げて行ってしまいます。
公明党も苦しい。号して800万票を擁すると言いながら前回国政選挙では650万票あまりに沈み、平和憲法を愛する公明党や支持団体の創価学会の皆さんからすれば、なかなか厳しい情勢になってきました。公明党には自民党から「敵基地を先制攻撃したいです」と言われて「はい、分かりました」なんてすんなり応えられるはずもないのです。そこが、公明党の愚直で良いところなんですよね。票の取れる、ブレーキ役。自民党だけでは決まらないからこそ、憲法改正や安全保障に関する議論も拙速にならずに済むという。
安倍さんが政治家人生の花道にやりたいこと
おそらく、安倍晋三さんは自身の政治的偉業として「日本国憲法の改正」を成し遂げ、自らの政治家人生の花道にしたいんじゃないかと思うんですよ。祖父・岸信介さんも成し遂げられなかった、戦後日本政治の悲願であり、また、戦後75年が経過して日本を取り巻く情勢が再び混迷を始めているいま、現実に即した憲法へと作り変えていくことが求められている。目の前がコロナ騒動で燃え広がろうと、我が国の経済が人口減少とともに右肩ダダ下がりであろうと、そのような対策よりも先にガッツリと改憲へと気持ちを焦がしているのではないでしょうか。
仮にこの秋に解散総選挙があるのだとすると、改憲についてはゆるゆると煮詰めつつ、先に自公での選挙協力を敷いて、現与党必勝の体制を築きたいのでしょう。まずは選挙で勝っておいて、そして改憲に着手する。その際に、公明党はついてこられるのかどうか。