初出場の番勝負でタイトル獲得に成功したのは……
藤井新棋聖は将棋史上において、45人目となるタイトル保持者となるが、過去のタイトル経験者で初出場の番勝負でタイトル獲得に成功したのは14名しかいない。順に名前を挙げると木村義雄十四世名人、塚田正夫名誉十段、谷川浩司九段、高橋道雄九段、福崎文吾九段、塚田泰明九段、田中寅彦九段、島朗九段、羽生善治九段、藤井猛九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、菅井竜也八段、高見泰地七段となる。
大山康晴十五世名人や中原誠十六世名人などの大棋士も、初挑戦でのタイトル獲得はなしえなかった。慣れない大舞台で普段通りの力を発揮することがどれだけ難しいか、想像もつかない。
タイトル奪取の歴代年少記録
そしてタイトル奪取の歴代年少記録は以下の通りである(※防衛に関しては含めていない)。
藤井聡太 17歳11ヶ月 第91期ヒューリック杯棋聖戦 2020年7月16日
屋敷伸之 18歳6ヶ月 第56期棋聖戦 1990年8月1日
羽生善治 19歳3ヶ月 第2期竜王戦 1989年12月27日
羽生善治 20歳5ヶ月 第16期棋王戦 1991年3月18日
渡辺明 20歳8ヶ月 第17期竜王戦 2004年12月28日
中原誠 20歳10ヶ月 第12期棋聖戦 1968年7月19日
谷川浩司 21歳2ヶ月 第41期名人戦 1983年6月15日
郷田真隆 21歳5ヶ月 第33期王位戦 1992年9月9日
羽生善治 21歳11ヶ月 第40期王座戦 1992年9月22日
羽生善治 22歳3ヵ月 第5期竜王戦 1993年1月6日
三浦弘行 22歳5ヶ月 第67期棋聖戦 1996年7月30日
羽生善治 22歳9ヵ月 第62期棋聖戦 1993年7月19日
羽生善治 22歳10ヵ月 第34期王位戦 1993年8月18日
塚田泰明 22歳11ヶ月 第35期王座戦 1987年10月21日
中原誠 23歳3ヵ月 第9期十段戦 1970年12月11日
中村修 23歳4ヶ月 第35期王将戦 1986年3月14日
中原誠 23歳4ヶ月 第17期棋聖戦 1971年1月12日
高橋道雄 23歳5ヶ月 第24期王位戦 1983年9月27日
広瀬章人 23歳7ヵ月 第51期王位戦 2010年9月2日
羽生善治 23歳8ヵ月 第52期名人戦 1994年6月7日
多士済々のライバルをなぎ倒して挑戦権を獲得し、さらに時のタイトル保持者を番勝負で負かすことがどれほど大変なことかは説明するまでもない。そんな偉業を17歳の若者がやってのけたのだ。