生まれてまもない子犬や子猫がペットショップに並んでいたら、あなたが発する言葉は「かわいい」? それとも「おかしい」?
動物保護だけでなくフェスの主催など、規格外の愛護活動で注目される動物愛護団体ランコントレ・ミグノン代表・友森玲子さんと、猫との暮らしは約30年、芥川賞作家の町田康さん。ペット大国・日本の問題点を語り合った(この対談は2019年7月に行われたものです)。
◆ ◆ ◆
友森 町田さんとは、坂本美雨ちゃんに連れて行ってもらったパーティではじめてお会いしました。あのときはピアノを演奏された坂本龍一さんに「顔に似合わず素敵なピアノを弾きますね」と言ってしまって、苦笑されたんです(笑)。名刺交換してご挨拶したんですよね? その後、町田さんから猫のエッセイ(『猫のあしあと』2012年に文庫化、講談社)の解説を依頼していただきました。
町田 僕は、友森さんの活動を断片的にですが知っていたので「猫のことを書いたエッセイだから、猫に詳しい人に解説してもらったらいいんじゃないか」と思ったんです。
友森 そして、その2年後に、大きなイベントを企画したので「出ていただけませんか」と、今度はこちらからお願いしました。町田さんのエッセイを拝読したら、猫がかわいいという上澄みだけじゃなくて、世話する大変さも知っていて、泣きながらも楽しく暮らしていらっしゃる。そんな話を聞いてみたくて。そして「そうだ、確か歌も歌っていたな!」と(笑)。
町田 顔に似合わず素敵な歌を?(笑) 僕は30年くらい前から、拾ったり、誰かに連れてこられたりした猫を保護して育ててきました。動物愛護の専門用語でいう「預かりボラさん」(保護された動物に正式な家族が見つかるまでの一時期預かり、自分のペット同様に世話をするボランティアのこと)のようなことをやって、これまでに一緒に暮らした猫は20匹から30匹でしょうか。
友森 町田家には、警戒心が強くて触らせない子や、病弱な子が多かったんですよね。まるで町田さんが厄介な子を自ら呼び寄せているかのように(笑)。
私は、年間約100頭の動物をウチの団体に受け入れてます。保護した動物はボランティアたちと世話をして、不妊・去勢手術などの医療行為をしたり、家庭動物になるためにしつけたりして、月に2回開催している譲渡会に出します。そこで家族が決まり、正式譲渡となる動物は年間に100頭くらい。現在保護してる動物は140頭。ちょっと抱えすぎだと感じています。
ずっと続けて、限界までやっているけど現状は変わらない。ならば、国や社会に解決してもらわないと。「犬や猫を増やさない」「悪い飼い方をする人には飼わせない」など法規制をしてもらえば、飼育放棄されて捨てられる動物も減ります。