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source : 週刊文春WOMAN vol.3

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友森 本当にそうですね。目の前に苦しがっている猫がいるのに「薬は副作用が心配」なんて言う飼い主もいます。「副作用以前に薬を飲ませなかったら死んじゃいますよ」と伝えても「でも……」って。理想論もいいけど、現実との距離があまりにも離れていて、結論が極端な人が多い。

 日本には、動物を「かわいいから飼っちゃおう」って人がまだまだいっぱいいます。「吠えて手に負えなくなるかも」とか「自分が病気をして飼いきれなくなるかも」なんて考えもしない。想像力の欠如、無知と危機感のなさが無責任な飼育放棄につながるんです。

左からチラジャン、ブンジャン、エアジャン。友森さんが多頭飼育の現場からレスキューし、ミグノンへ

町田 まずは「犬や猫ってこんな生き物ですよ、こんな性質の動物ですよ」ってことをたくさんの人にわかってもらいたいですね。特に犬には、犬種がありますから。犬種によって習性も違います。そこを理解しないまま動物を迎えるのは危険。

「かわいいから」とか「いると生活が楽しくなる」とか、そんなふわふわした気持ちで「犬が飼いたい」「猫と暮らしたい」になりがちですが、現実には、動物は人間よりも早く年をとって、病気になってお金がかかったり、悲惨な姿を見なくてはならなかったり、辛いこともたくさんあります。

 犬が登場する物語って、昔から、だいたい犬のかわいさや賢さをクローズアップして描かれていますけど「現実はそれだけではないですよ、メルヘンだけじゃなくリアルもありますよ」ということです。動物をメルヘンと思い込んでいる人が多いですね。

友森 私、うちの保護動物を預かってくれている人たちに「もし災害が起こったら、一番は自分の命を守ること。そして余裕があったら自分のペット。保護動物を助けるのはその後でいい」って言うんですけど、「えっ、信じられない」みたいな反応をされます。だって、みんなで助かろうとして共倒れになるより、まずは自分が助からなければ、他の動物を助けられる可能性もなくなるわけですからね。もちろんみんなで助かるのが一番いいけど、そうできない状況も起こり得ますから。

ミグノン歴3年の鶏の鳥男。トサカで子犬の子守をします

町田 生き物は現実ですからね、災害じゃなくても。問題の根本を見ずに、言葉だけがひとり歩きするような感じが社会全体にありますね。「殺処分ゼロ」も、スローガンのようになっているけど、その実質は? というような。

 僕は、犬や猫の方が人間より偉いと思っているようなところがあって、それを踏まえて言いますが、人間って、すぐ「なんで?」って聞きますけど、動物には「なんで?」がなく、常に「結果」しかない。犬にはちょっとあって悲しそうな顔をしますけど。

 友森さんの感覚は、それに近いような気がするんですよね。大義があるんじゃなくて、判断が動物的(笑)。