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source : 週刊文春WOMAN vol.3

genre : ライフ, ライフスタイル, 社会

犬や猫は人間の鏡のようなもの

友森 動物を飼うからには「死を見届ける」という義務が生じますが、そこを認識していない人も多いです。動物を飼うことは、その子の命を預かるということなのに。それをやりきって「犬や猫を見送ってつらい」ということもありますけど。町田さんはこれまでに何頭も犬や猫を見送ってますよね。

町田 そうですね。最近もパタパタッと亡くなってしまいました。「あのときこうしてやればよかったな」「あんなことしちゃってかわいそうなことをしたな」、逆に「あのときは、自分でもよくやったな」とか、いろいろ思います。

 ペットロスを一気に解決する策はありません。動物を飼うって、自分が「かわいがりたい」というエゴを満たすために飼っている。しかも彼らは飼い主を選べない。だからせめて、動物たちにとって少しでもいい環境を整えるとか、苦痛を減らすとか、日々そういうことを続けていくしかないんです。

 そしてその積み重ねが、ペットロスに関してもちょっと救われる。「やれることはやったな」と思えたときは、少しは気が楽になれるし、「不注意だったな」っていうときは、落ち込んだりもします。ペットが死んだときの衝撃を減らすのは「彼らに対して日頃から後悔のないようにちゃんとやってる」ことでしかない。自分の人生そのもののようですけどね。

イグアナも! この子の名前はモリアナちゃん

友森 私もたくさんの動物たちの死に立ち会ってきていますけど、慣れるということはなくて、むしろ年々重くなっています。動物たちの方が「死」を自然に受け入れますね。「生まれること」と「死ぬこと」を同等に捉えている感じです。

町田 犬や猫って、人間の鏡のようなものだと思うんですよね。自分がちゃんと生きていたら、犬や猫も健やかでいてくれるし、飼い主の生活が荒むと犬猫もそうなります。人間が忙しくしていると犬猫が病気になったり、毛づやが悪くなって、ぼさぼさになってきたり。猫は顕著です。家の中にいて、人に近いところで暮らしている動物には、特に感じますね。

 こっちが勝手に思っているだけかもしれないけれど、動物たちを通して飼い主の心があらわになるというかね。

友森 話は尽きないですね。

※毎年9月に友森さんが開催してきた動物愛護イベント「いぬねこなかまフェス」は、2020年は9月20日にオンラインでの開催を予定しています。

 

友森玲子(とももりりょうこ)/1977年東京都生まれ。動物病院の看護師を経て、2007年動物愛護団体ランコントレ・ミグノンを作る。14年からはペットサロンと動物病院を併設したミグノンプランを主宰。災害時には現地に赴き被災動物の保護も。
www.mignonplan.com

町田康(まちだこう)/1962年大阪府生まれ。97年処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、2000年に「きれぎれ」で芥川賞受賞。猫との日々を綴ったエッセイも多数。近著に『しらふで生きる 大酒飲みの決断』(幻冬舎)、『スピンクの笑顔』 (講談社文庫)。16年からはバンド「汝、我が民に非ズ」を本格的に始動。
www.machidakou.com

text:Yukiko Ishiguro, photographs:Keiji Ishikawa

週刊文春WOMAN vol.3 (2019 夏号)

 

文藝春秋

2019年8月16日 発売

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