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「男性関係が複雑」だった生母

 2006年、父親とソン氏が正式に離婚。同時にソン氏は、2人の親権を放棄した。父親は今回JTBCの取材に応じ、ソン氏の「男性関係が複雑だった」と語っている。ク・ハラがKARAメンバーとしてデビューしたのはその2年後、2008年のことだ。

 父親についてク・ホイン氏は「それでも親として責任を取ろうとした人」と話すが、兄妹とは一定の距離があったらしい。やがて2011年には祖母も他界し、兄妹は互いを唯一の家族と思っていたわり合った。

父親が携帯に保存していたク・ハラとの写真(JTBC「イ・ギュヨンのスポットライト」7月23日放送分より)

 ソン氏は家出以後、2人の子供にほとんど連絡すら寄越さなかったという。そんな母子がようやく再会したのは、2017年。うつ病を患っていたク・ハラが、治療の一環として母親と会うよう医師から勧められたのが理由だ。

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2017年に再会したク・ハラとソン氏(JTBC「イ・ギュヨンのスポットライト」7月23日放送分より)

 だがこの再会も、ク・ハラが望んだ形とは違ったらしい。同行した人物が前述の番組で明かしたところによると、ク・ハラは母親との温かい会話と抱擁を期待していた。だがソン氏は大勢の親戚や知り合いをその場に呼び、有名人の娘を自慢するかのように振舞ったそうだ。この再会の後も、母子の関係は特に変わるところがなかったという。

ク・ハラの遺産相続を巡って裁判に

 約20年間、すすんで子供と関わりを持とうとしなかったソン氏。その態度が変わったのは、ク・ハラが他界してからだ。ソン氏は葬儀に押しかけて自分が喪主を務めると言い張り、ク・ホイン氏とひと騒動起こした。出棺の翌々日にはソン氏の弁護士2人がク・ホイン氏を訪ね、ク・ハラが所有していた不動産の半分を相続すると伝えたという。

KARAのメンバー。右端がク・ハラ ©️AFLO

 子供や配偶者のないク・ハラの遺産は実の父母に50%ずつの相続権があり、親権の放棄も欠格事由とならない。だがソン氏の相続を容認できないク・ホイン氏は今年3月、光州家庭裁判所に相続財産の分割審判を求める訴訟を提起した。

 ク・ホイン氏はさらに同月、相続の欠格事由に「扶養義務を著しく怠った者」などを加えることを骨子とする民法改正案、通称「ク・ハラ法」の制定を求める立法請願を国会に提出している。もちろんこの改正法が成立しても、事後法となるためク・ホイン氏の裁判には影響しない。だがク・ホイン氏は「妹の死が無駄にならないよう、私たち家族のようにこうしたことに苦しむ家族がこれ以上増えないことを願う」と述べている。