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「人生を諦めたいと思う瞬間もある。けど……」三浦春馬がドラマ『太陽の子』に込めていた思い

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2020/08/15
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「コロナ禍に戦争作品に出演する意義」を語った、有村架純

「当然生半可な気持ちでは演じられないと思った」と広島の記者会見で語った有村架純は、8月8日のスタジオパークの生放送では「戦時中を演じるのが初めての挑戦であること、それから『ひよっこ』でお世話になった信頼する黒崎博監督が演出することでオファーを受けることを決めた」と語った。

 戦時中の女性を演じるにあたり、海外の女性兵士の取材記事も参考にしたと語る有村架純は、言うまでもなく戦争を経験したことがない。だが彼女は平和の中の貧しさについては知っている。

有村架純 ©︎getty

 自分が母子家庭で育ったこと、金銭面で苦労する母親の背中を見ながら「自分たちは人一倍頑張って生きていかなければならないのだ」と小学生の頃から思っていたこと、女優になり上京する時に「家族を養えるほど頑張って、自分にかけたお金を親に返したい」と思ったこと、以前から少しずつ話していた、そのような自分の生育環境について、岡田恵和の脚本、月川翔監督の演出でWOWOWドラマから映画化された『そして、生きる』を演じた頃から、有村架純はよりはっきりと取材に対して語るようになった。

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 現在発売中の週刊文春に掲載されているインタビューの中で、「このコロナ禍において、戦争をテーマにした作品に出演できるのは不幸中の幸いだと思います。まさに大恐慌が起こりそうな最中、資源を求めて争われてきた戦争を振り返り、改めて戦争について考えるという意味でこの作品を観て頂けたら嬉しいです」と彼女は語る。

「歴史を変えてしまうのではないか、みんなの戦争に対する見方を変えてしまうのではないかという不安があった」と8日のスタジオパークで有村架純が語ったのは、原爆開発者の側に近い人間を演じることで日本人の歴史観、歴史を修正する動きに加担してしまうのではないかという危惧を自分の言葉で表現したのだろう。

 有村架純の中では、おそらく自分の育った経済的な貧困と、これから世界を覆うであろう巨大な世界不況の下で苦しむであろうかつての自分のような子供たち、そしてその先にある過去の「恐慌から戦争へ」という歴史のリフレインが一本の線で繋がっている。