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「にらそば」は栃木県鹿沼地方の夏の郷土そばで、これも岩田さんが食べ歩いてメニューに取り入れたという。ただ、9月10日過ぎには終了となり、入れ替わって秋のメニュー「舞茸天そば」が登場するという。
とにかく、なめこも大きくたくさん入るし、穴子は一本どーんと大きいし、にらの量は多いし、気前よく「食べてください」という雰囲気が「香取屋」にはあるわけである。
日本各地の“うまいそば屋”を研究
店主の岩田さんは研究熱心。各地を旅行して、うまいそば屋に行ったり、地方の製粉屋に直接行ってそば粉を買い付けたりしているそうだ。食材もこだわって仕入れている。
この時期のそばは群馬県赤城山麓産のキタ早生の無農薬栽培で作られた新そばである。夏場は麺線を少し細くしているそうだ。なかなか繊細な対応だ。秋になると八ヶ岳特選そば粉を使ったやや太めの信州そばになる。信州の地粉のそばもまた格別である。
あえて出前やテイクアウトをしない理由
食べ終わり、コロナ禍について少し訊ねてみた。
近隣の宴席を中心にした店や居酒屋的な店は相当厳しい経営を強いられているそうだ。街のそば屋では減少した売り上げを回復するため、さまざまな対策を講じている。例えば、出前を復活したり、持ち帰り用の生そばだけでなく、冷したぬきそばなどの一品ものやどんぶりもの、玉子焼きなどの総菜のテイクアウトを始めたり。
「香取屋」のコロナ対策を岩田さんに聞いてみると、意外な回答が返ってきた。
4月は店を閉鎖してこもっていたそうだ。しかし、再開後は特別な対応対策は特にしていないというのだ。