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「何度不況を経験してきたか…」57年続く東京の老舗そば屋が“あえて”テイクアウトをしない理由

2020/09/01
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 飾られた短歌の色紙や渋い店内の様子を眺めていると、ほどよい塩梅で「生なめこそば」が到着した。なめこは新潟県中魚沼郡津南町から直送されたもので、大きいなめこがどっさりと入っていて、素敵な雰囲気である。細切りのきゅうりとの色合いもよい。もりつゆをかけまわし、そばをなめこと一緒にズルズルと食べる感じがなかなかよい。そして、このもりつゆ自体がすこぶるうまい。本鰹節を使ったコクのある出汁と返しのバランスがよい。いつ来ても飲み干してしまう。

新潟県中魚沼郡津南町から直送されるなめこが決め手
「生なめこそば」(900円)。大きいなめこときゅうりの色合いがたまらない
もりつゆをかけまわし、きゅうりとなめことそばをぐいぐいと食らう

“一本まるまる” 売れ筋の「穴子天ざる」(1300円)

 お店の売れ筋は何か聞いてみると、「九条ねぎそば」(900円)、「穴子天ざる」(1300円)、「にらそば」(800円)あたりだというので、追加で「穴子天ざる」を注文した。

 到着した穴子天をみてびっくり。大田市場から仕入れているという穴子は一本まるまるどーんという感じで、しし唐天を2つ添えて迫力満点の大きさだ。

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人気の「穴子天ざる」(1300円)の穴子は大田市場から取り寄せる
穴子天は一本まるまるどーんという大きさ

東京でも上位ランクの「にらそば」(800円)

 3月に伺った時に食べた「にらそば」はかなりの量のにらがのって壮観だった。にらは茹ですぎず、香りがよく彩りもよい。都内で食べることができる「にらそば」の中でも相当上位のランクに入ると思う。