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“周庭が日本のインターネット上で巻き起こしたウェーブは、事態(香港問題)に関心を持つ多くの人にとって予想外のことだった。一つの理由は、日本の若者の目から見て、過去に知っている社会運動家の姿と比べて、周庭はよりいっそう隣の家の女の子のような「アイドル」っぽさがあったからだ。

 もうひとつの理由は、周庭の清純派の日本っぽい雰囲気と、流暢な日本語のコミュニケーション能力が、日本人から非常に身近な感覚を持たれたことだ。これは周庭の逮捕をして、少なからぬ日本人に、ある意味では「うちの子」が傷つけられたような感覚を生じさせることになった”

2017年7月1日、かつては毎年恒例だった香港民主派の大規模デモイベント「七一大遊行」の現場で見かけた、デモシストのメンバーと演説中の周庭。知名度はそこそこ高いものの、多くの活動家のなかの1人という位置づけで、周囲に人だかりができたりすることもない。

“周庭の成功の一因となったのは、彼女が「オタク」的な文化を入り口とし、日本の若者とつながるチャンネルを開くという選択をおこなったことである”

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“周庭には一種の「ギャップ」による魅力がある。往年の艱難辛苦と権力への怒りをみなぎらせていたような革命家の姿とは異なって、周庭のパブリックイメージは「隣の女の子」的な「かわいい」要素と、「革命家」的な「粘り強い」要素があり、これはまさに一種の「ギャップ萌え」であって、周庭の逮捕後に多くの日本の若者の注目を集めさせることになった”

 周庭ファンの日本人は果たして「若者」なのかという大きな疑問はあるが、興味深い指摘だろう。この文章の筆者はおそらく香港人で、日本に滞在している模様だ。

2014年の雨傘革命当時の周庭。民主派学生団体・学民思潮(スカラリズム)のスポークスパーソンとして参加 ©AFLO

「親日」的外国人を望む日本人

 また、『端伝媒』8月22日付け記事の「日本ではなぜ、李登輝を懐かしみ周庭を応援するブームが盛り上がったのか」も興味深い。こちらの執筆者は台湾人で、北海道大学で助教として教鞭を執る許仁碩である。

 許はこの論考で、まずバブル以降の日本が「失われたXX年」のなかで政治・経済・社会の活力・国民の経済的平等・報道の自由などが大幅に下落したことを論じ、日本人の自己認識における自国の姿と、日本社会の実態との大きなギャップを指摘。ゆえに近年の日本人が強いいらだちを覚え、「日本スゴイ」ブームや「反中反韓」ブームが庶民層にまで浸透しつつあると述べている。そしてこう書く。