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――ゲームというと、自分ひとりの世界に閉じこもって、人との関わりを断つイメージがありますが、川島さんの場合、逆にコミュニケーションツールになっていたというのも、とても新鮮でした。

川島 僕はもともと、そんなに社交的な方じゃないんです。PSP(プレイステーション・ポータブル)を持っていれば、最悪、会話が続かんでもええかみたいな。みんなでカラオケボックス行って、1曲も歌わず、朝まで1人でゲームをやったりもしていたので。でもPSPの『モンスターハンター2』というアクションゲームにハマっていたときは、どんどん仲間が増えていきました。しゃべったこともない芸人が楽屋にいきなり入って来て、「川島さん、モンスターハンターうまいって聞いたんで、横で見ててもいいですか」とか。「かまわへんけど、誰?」みたいな。気ぃついたら、8人ぐらい同じ楽屋におったこともありましたね。芸人だけでなく、モデルやら、タレントやらもいて。そうして連絡先を交換して、今度、みんなでご飯食べに行きましょうみたいなこともあった。そういう風に人とつながっていったという意味では『ドラゴンクエスト9』とか『ドラゴンクエスト10』もそうだったな。でも、『モンスターハンター』がいちばんすごかったかな。

『モンスターハンター2』

ぼくは『ドラクエ』でいうと僧侶が好き

――そういえば、本に出てくる50本のゲームのうち、『ドラクエ』シリーズは6本も登場しますよね。それだけ思い入れの強いソフトだと思うのですが、最初の頃、友だちが『ドラゴンクエスト』をやっているのを傍らで見つつ、もっぱらキャラクターをスケッチしたり、書記役として攻略法などをメモしていたと回想されていました。プレーすることだけじゃなく、当時からそういうことにも興味があったわけですね。

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『ドラゴンクエスト1・2』
『ドラゴンクエスト3』

川島 今もそうなんですけど、『ドラクエ』でいうと勇者というよりも僧侶的なものが好きなんですよね。目立たなくても、コツコツやるとか。それは親の教育方針とかが影響しているんでしょうね。ファミコンが欲しいと言って、すぐに買い与えてくれるような親だったら、今と性格は違っていたかもしれません。グリーンスタンプを一心不乱にかき集めてファミコンを手に入れた経験は、今の僕の原点だと思います。

(【続き】“2児の父”麒麟川島明41歳に聞く「ゲーマーの川島さん、子どもにゲームをせがまれたら買ってあげる?」 を読む)

ぼくをつくった50のゲームたち

川島 明

文藝春秋

2020年9月16日 発売