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賃貸サイトの「ルームシェア相談」、本当の意味は…女4人で共同生活の“落とし穴”

エッセイ『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』#1

2020/10/02
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 他人同士で3人暮らしの経験はないけれど、良いかもしれない。家賃も3人で割り勘にすれば、負担が少ないままでもっといい部屋に住める可能性もポップアップしてくるし。「とりあえず、共通の友人に声かけてみようか」と、その日のLINEはお開きになった。

連絡用グループ「ちょっとしたパーティー」で呼びかける

 さて、ルームシェアのメンバー募集。これまで他人と暮らしてきた経験は多いけれど、親姉妹は生まれたときから一緒だったし、寮生活は強制的なものであり、パートナーとはなし崩しで同棲に突入したので、どういう相手と一緒に暮らしたいかを考えたことはあまりなかった。まあ、こういう場面でもない限り、なかなかそこは考えないか。

 とりあえず、断られても気まずくならないレベル(※重要)の親しい関係にある人に声をかけてみよう、と丸山さんと話し合う。

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「誰に声をかけます?」

丸山「そうですねぇ、例のLINEグループで呼びかけてみたら?」

「それや」

 例のLINEグループとは、私が友人たちを集めて不定期に開催しているパーティーの連絡用グループ、その名も「ちょっとしたパーティー」である。

 当初は同年代のヴィジュアル系のファンたちが「最近派手な服装してないな~」「子連れで集まれる遊びがないな~」と、ゴシックな黒服やロリータをまとってカラオケルームなどに集って遊んでいたのが発端になっている。

©️iStock.com

 やがて「いつもカラオケだと変化がないな」「洋館みたいなスタジオ借りて撮影会しよう」「キッチン付きレンタルスペースを借りて“ちょっとしたパーティー”をやろう」と広がっていき、クリスマスやハロウィン、あるいは意味もなく唐突にパーティーを開催するのが恒例になっていた。それが異様に盛り上がった結果、友人が友人を呼び、最終的に数十人規模の集団と化していたLINEグループである。もはや「ちょっと」ではない。

 たしかに、あそこにいるのは知り合って10年くらいは経過しており、人となりはだいたい掴んでいる人たちばかりだ。それに、このグループで行われる催しの場所を押さえたり予算管理をしたりしていたのは私なので、参加者はだいたい私の人間性(=多少雑だけど、企画そのものを投げ出すようなことは少ない)を理解しているように思う。ゆえにひとりひとりにメッセージを投げるより、効率が良い。

 というわけで、我々は曖昧な感じでメンバー募集を開始したのであった。