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賃貸サイトの「ルームシェア相談」、本当の意味は…女4人で共同生活の“落とし穴”

エッセイ『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』#1

2020/10/02
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 ルームシェア可物件はペット可物件よりも少ないという説も巷ではまことしやかにささやかれている。「人間様は複数だとワンちゃん以下か!」と遠い目になった。間取りの面でも物件探しは難航した。4LDKというと、賃貸マンションは大抵ファミリー向け物件であり、家族で暮らすことを想定した間取りばかり。

三上「8畳、6畳、6畳、4・5畳……あら、この部屋、窓がすごく小さい」

角田「北側で日当たりも悪そうですね」

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丸山「座敷牢ですやん」

「ジャンケンで負けたやつが、座敷わらしとしてやっていくしかない」

角田「ねえ見てくださいよ、こっちの物件は一応“4LDK”とあるけれど、ひとつはサンルームですよ」

三上「サンルームってガラス張りの部屋?」

「マジで?『ジョジョの奇妙な冒険』(3部)のDIOだったら死んでるじゃん」

丸山「灰になるわ! 旅終わってまうわ! っていうかDIOじゃなくても嫌ですよ」

©️iStock.com

物件のゲシュタルト崩壊

 ぐぬぬ。当初はみんな勢いづいて検索しまくっていたけれど、断られることが続くと心が折れそうになる。

角田「ここまでルームシェアの入居が厳しいとは……」

丸山「この物件、前にも見たかも……物件のゲシュタルト崩壊」

「いっそもう、買うしかないのか、マンションを(五・七・五)」

三上「5000兆円欲しい!」

 疲弊した我々を見かねた「ちょっとしたパーティー」グループの人々も、「○○駅が狙い目」「リノベ物件はシャワーの水圧が弱すぎたりするから要確認」だとか、「オーナーが外国人の物件はルームシェアに優しい説、逆に財閥系の物件は厳しい説」「23区出るとゴミ袋が自治体指定で有料になったりするから気をつけて」だとか、物件探しに協力してくれた。

 我々4人も、途中から賃貸大喜利というか、あきらかに手の届かない家賃月額100万の神楽坂の洋館にキャッキャしたり、どうみてもex.タコ部屋であることがうかがえる錦糸町の謎物件に震えるなどしつつ、気を取り直して理想の物件探しに邁進するのであった。

◆◆◆

 後編では、理想的な物件が見つかるものの、思わぬ壁が立ちはだかる。

(後編「女4人のルームシェア計画、理想の物件が見つかるが…立ちはだかった『30代の壁』」へ)

オタク女子が、4人で暮らしてみたら。

藤谷 千明

幻冬舎

2020年9月17日 発売

賃貸サイトの「ルームシェア相談」、本当の意味は…女4人で共同生活の“落とし穴”

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