文春オンライン

賃貸サイトの「ルームシェア相談」、本当の意味は…女4人で共同生活の“落とし穴”

エッセイ『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』#1

2020/10/02
note

【犬猫可】より少ない【ルームシェア可】物件

 さて、物件探しです。希望はこんな感じ。なお、【ルームシェア可】であることが大前提だ。

・全員の個室が欲しいので4LDK以上

・作業スペースが欲しいので、リビングは最低でも12畳

・家賃は25万円以内

・築年数はこだわらないが、水回りはリフォーム済みであることが必須

・個室の広さに差が少ない

・できれば全室フローリングがいいけど、和室も可

・誰かの個室を通らないと出られないベランダは洗濯物を干すのに不便だからNG

・都心から電車で分以内

・会社員組の通勤事情を考慮し、2路線は使える駅が理想

 こうやって並べると注文が多いな。

 検索手法はいわゆる人海戦術で、SUUMO、HOME’S、Yahoo!不動産、東京R不動産をそれぞれ手分けして担当することにした。だいたい毎日昼休みだとか夜の時間帯に、良さげな物件をLINEグループに投下。それをみんなで吟味し、全員のお眼鏡にかなう物件はグーグルスプレッドシートに記入する。スプレッドシートでは【物件名】【間取り】【家賃】【最寄り駅】【徒歩○分】【築年数】などの項目をリスト化し、比較検討できるようにした。

ADVERTISEMENT

©️iStock.com

 しっかしまあ、【ルームシェア可物件】の少ないこと少ないこと~~! 4人がかりでもスプレッドシートに1日に1件追加できれば良いほうで、賃貸情報サイトから実際に問い合わせたらNGということも多々あった。

 世の中の賃貸物件は、ほぼ【ルームシェア相談】となっている。【可】ではなく【相談】! この【相談】というファジーな表現に振り回されること数知れず。サイトによっては、【ルームシェア】と【2人入居】がまとめて同じチェックボックスに入っていて、問い合わせてみると「友人同士のルームシェアは不可」だったり、暗にフリーランスであることが理由でお断りされたり、「そういう形のルームシェアはちょっと……」というふんわりした理由でハネられるケースもあった。待って、「そういう形」とは、なんぞ……!? ちなみに【2人入居】とは、結婚を前提とした同棲を指しているとのこと。まわりくどいな、オイ。

 検索に疲れはじめた私は、「灯台下暗しかもしれない」と、住んでいる街の駅前の不動産会社を訪ねてもみた。が、「友達4人で暮らせる物件を探してます」と言い終わらないうちに、スタッフの表情がみるみる曇っていく。

 いわく、友人同士のルームシェアというものはケンカ別れなどで破綻したときに家賃が未払いになるリスクがあって、家主にとって心配のタネ。それゆえにルームシェア可物件は非常に少ないのだという。いやいや、同棲やきょうだい同士でも破綻するときはするからね?どちらも前科ありの私が言うんだから間違いない(自慢にならない)。