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いかにも“ワル”は「僕にはできない」

段田 『半沢直樹』にはいろんな悪役が出てきますが、他の方はいかにも“ワル”という感じだったんで、いやー、それは僕にはできないなぁ……と。なので一人くらいは、この人は良い人なのかなと思っていたら、実は半沢の敵でした、という奴がいてもいいんじゃないかと考えながら演じていました。

――初登場の段階で、最終話までのストーリーはご存知だったんでしょうか。

段田 今回は脚本を作るのが大変だったようで、第4話を撮っていたときには、第5話の準備稿ができていたかどうか……くらいだったと思います。そのためか、実は私も先のことはわからないまま、演じていたんです。

 

 もちろん、この作品には原作がありますし、事前の打ち合わせでも紀本の役どころについては聞いていましたが、ドラマは途中で話や設定が変わることも珍しくないんです。ですから、のちに紀本がどっちにつくのかははっきりしていないまま、なんとなくどこかで“裏の顔”を見せるんだろうなと想像しながら撮影に臨んでいました。

悪役にも悪役の道理がある

――今作ではいわゆる悪役、主人公にとっての“敵”を演じられたわけですが、そうした役を演じる上で、気をつけていた点などはありますか。

段田 やはり、悪役にも悪役の道理があるんですよね。普段の生活でも、汚職で政治家が捕まったり、公務員が逮捕されたりすると、「こいつら、なんてことするんだ」と思いますけど、その背景がわかってくると、ああ、こういう理由で罪を犯してしまったのか、と見えてくることもあります。もちろん、大前提として決してやってはいけないことなんですけど、紀本も銀行の不正をなんとか隠したいがゆえに、サラリーマンの哀しさゆえにやってしまったという、彼なりの道理があるのかもしれない、とは感じていました。

 

 ただ一方で、そんなことを考えなくても、時代劇とかでは、悪いやつが正義の味方にバッサリとやられるのが楽しいという面もあるわけなので、そこは作品のテイストによっても変わるところですよね。『半沢直樹』も、ある種時代劇的な、勧善懲悪の面白さがあるので、そこのバランスをとることは常に意識していました。

――紀本常務の出演シーンですと、「この結論に銀行員生命を賭けようと思います」と宣言した役員会議のシーンや、地下の隠し部屋で半沢と黒崎検査官(片岡愛之助)に問い詰められるシーンがとても印象的でした。段田さんの中では、とくに記憶に残っているシーンはありますか?