2040年には人口の50%が独身者になると言われる日本。もはや「結婚」という制度自体が崩壊していることを説く『結婚滅亡』が話題になっている。著者の荒川和久氏は新しい時代の結婚像を模索する「独身生活研究者」でもある。
婚活の現場で起きている「未婚人口は男性の方が多いのに婚活市場では女性が余る」という事態は、まさに社会の変化を象徴する現象だ。『結婚滅亡』より、驚きのデータを交えて解説した章を抜粋して転載する。(全2回の1回目。#2を読む)
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これだけ「男余り」なのに、婚活の現場では、「そもそも男性の絶対数が少ない」「男性参加者が少なくて、婚活パーティーが単なる女子会になってしまう」などという声もよく聞かれます。未婚男性の絶対数が多いのに、婚活の現場ではどうしてこうした逆転現象が起きるのでしょうか?
結婚への意欲は女性の方が高い
その1つの理由は、未婚男性だからといって全員が「結婚したい男」ではないからです。
よくテレビや新聞などで「出生動向基本調査によると、結婚したい男女は9割もいる」という言説が流れますが、あれは正しくありません。この結果というのは、「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚しないつもり」かの二者択一の質問に対する回答なのです。どちらか1つを選べといわれれば、よほど結婚したくないと思っていない限り「いずれ結婚するつもり」を選ぶでしょう。
出生動向基本調査では、それに続いて「一年以内に結婚したい」「理想の相手ならしてもよい」という結婚前向き派か、「まだ結婚するつもりはない」「一生結婚するつもりはない」という結婚後ろ向き派か、という質問もしています。
それによれば、結婚に前向きな20~34歳までの未婚男性はたったの4割しかいません。一方、同じ年齢の女性でも5割です。二者択一の無理やりな選択で「結婚するつもり9割」だとしても、実際、結婚意欲があるといえるのはその半分程度であり、この傾向は30年前から変わっていません。
そして、重要なことは、男女の間には1割の乖離があるということです。2015年の出生動向基本調査から年齢別にその詳細を見てみましょう(図1-11)。
20~39歳までの年齢では、すべて女性の方の結婚意欲が高いことがわかります。男女差分でいえば、25~29歳が16%も女性の結婚意欲が高くなっています。つまり、未婚者の絶対数では「340万人の男余り(20~50代の場合)」ですが、結婚意欲に関しては女性の方が上回っているのです。単に未婚男性の人口が多くても、結婚意欲がない相手では結婚の対象にはなりえません。