しかし、この発言はネットユーザーの間で兵役の「公平性」をめぐる論争となる。ネット上では、「BTSメンバーやファンが兵役免除を要求している」という根拠のないデマが広がったのだ。
これに怒ったBTSのファンクラブ「ARMY」は、「BTSのメンバーやファンは誰も、現在の兵役特例法に不満を表したことはない。政治的目的でBTSを利用するな」と激しく反発。河議員も謝罪に追い込まれた。
2019年には、U-20ワールドカップサッカー大会で韓国代表が、史上最高の準優勝という成績を収めると、政界では代表チームの活躍した選手に兵役免除特典を与えるべきだと主張。BTSに対しても、特例を求める声が再び上がった。
しかしこの時、政府の「兵役特例改善案のためのタスクフォース」が出した結論は、その声とは正反対に、兵役免除特典の適用対象を徐々に狭めていく方針が打ち出された。というのも、社会的公平性だけでなく、急速な出生率低下の影響による“人員不足”が懸念されたのだ。
異例の代替案「BTSは無報酬で独島の広報を」
これで議論が収束すると思いきや、今年9月にBTSのシングル「ダイナマイト」が米ビルボード「ホット100」で2週連続1位を記録すると、議論が再燃。政界で「BTS兵役特例」という“定番メニュー”がふたたび国会の議論のテーブルに乗せられた。
まず、政権与党の議員が議論をリードした。「共に民主党」の盧雄来(ノ・ウンレ)最高委員は、党最高委員会議で、「BTSはビルボードの1位で1兆7000億ウォンの経済波及効果を出し、韓流の伝播と国威宣揚の価値は推定すらできない。BTSの兵役特例を真剣に論議すべきだ」と主張し、この発言を機に政界で本格的な論争に火がつき、与野党の議員から次々とBTSの兵役特例を求める声が相次いだ。
次期大統領候補とされる同党代表の李洛淵(イ・ナギョン)前首相は「BTSの本人たちも望むことではない。言葉を慎んでもらいたい」と警告したが、一度火が付いた論争は収まらなかった。
10月7日には、韓国文化体育観光部の朴良雨(パク・ヤンウ)長官も、国会の国政監査に出席し、BTSのような大衆芸術家に兵役特例が適用されることについて「前向きに検討する必要がある」との考えを表明。前出の盧雄来議員に至っては、BTSの兵役の代替案として、次のような持論を述べた。
「独島の海外広報のような国家的広報に一定期間無報酬で参加させる方法もある」
この発言には、さすがに「過度な政治的発言だ」という非難の声が集まった。