中国からの批判には無言の政治家たち
BTSの兵役問題の“政治利用”が止まない一方で、BTSの発言に対する中国のネットユーザーからの攻撃には、韓国の政治家たちは沈黙した。
発端は10月7日、米韓親善団体から米朝関係の発展に貢献したとして、BTSに賞が授与された際、リーダーのRMが「今年は韓国戦争(朝鮮戦争)70周年で、私たちは(韓米)両国が共に経験した苦難の歴史や多くの犠牲を記憶しなければならない」と発言したことだ。
中国の一部メディアは、この発言が朝鮮戦争で命を失った中国人を侮辱する言葉だと猛烈に反発。ネットユーザーにも非難が広まって、不買運動に発展しかねない一触即発の状況になってしまった。しかし、韓国の政治家は誰一人、中国の“揚げ足取り”を非難する人がいなかった。
韓国メディアが彼らのダブルスタンダードを指摘しても、共に民主党の某議員は「大衆的に名が知られた彼ら(BTS)の発言が、他国の民族的自負心や歴史的傷に触れると、大きな社会問題に飛び火する」「各国の市民社会の自浄に任せるのが常識」と、黙ってしまった。このように、自分に都合のいい時だけBTSに便乗しようとする政治家の態度は、メンバーと同世代の若者の反感を招いているとの指摘も多い。
メンバーは「国の命令があればいつでも行く」
当のBTSは、これまで一貫して兵役の義務を遂行するという立場を明らかにしてきた。
先に紹介した12月に28歳となるJINは2月21日、記者懇談会で、軍への入隊の時期についての記者の質問に、「入隊に関して決まったことはなく、申し上げるのは慎重にならないといけないのですが」と前置きしながら、次のように答えた。
「兵役は当然の義務だと思っています。国の命令があればいつでも(軍隊に)行くつもりです」
4枚目のアルバム『MAP OF THE SOUL:7』の発売を記念して開かれたこの記者懇談会は、全世界に生中継されていた。この席で、デリケートなテーマである兵役問題を避けず、正面から回答したJINの態度に、韓国メディアの記者の間でも「意外だった」という反応が多かった。
経済紙のベテラン芸能記者は、次のように分析する。
「一般的に、入隊を控えた芸能界のスターに兵役に関する質問はNG。もちろん記者会見では予想外の質問が出ることもあるが、この日は記者から事前に質問が提出されている。つまり、いくらでも質問を避けられる状況だった。JINがこのように明確に答えたのは、政界を中心に絶えず繰り返されている自分たちの兵役をめぐる論争に対し、『自分は原則に従う』とクギを刺したかったのでしょう」
所属事務所のビッグヒットも「BTSメンバーは軍隊に入隊したいという立場だから、政界での論争を自制してほしい」と訴えたことも数回ある。