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 外敵の多いサバンナで、人類は多産になったらしい。しかし人類は乳児期が長く、成長するまでに数年を要する。手のかかる子どもを助けるために男が育児に参加し、共同保育が促進された。それが「家族」の起源ではないかという説がある(注1)。

 しかし本当のところは、謎ばかりだ。大きく分けると、「家族」の始まりには2つの説がある。男女は共に複数の男女と性的関係を持ち、集団の大人が協力して育児にあたっていたという「古代コミューン」説と、嫉妬深い夫婦と子どもによって成立する核家族が古くから存在したという「永遠の一夫一妻制」説である(注2)。

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「家族」らしき人々が一緒に埋葬されている事例も

 おそらくは、どちらの集団も存在したのだろう。時代や地域によって、様々なグループがあったはずで、人類社会に共通した「家族」の起源を探求する必要はないと思う。

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 日本列島に限っても、やはり古代の家族のことはあまりわかっていない。ただし「家族」らしき人々が一緒に埋葬されている事例は見つかっている。宮城県の貝塚から見つかった8体の人骨は、頭蓋骨に類似した特徴を持っていて、遺伝的に強い関係を持っている可能性が高いという(注3)。列島中から同様の事例が発見されているので、縄文時代には「家族」を単位とした墓が珍しくなかったのかも知れない。

 しかし「家族」といっても、あまり現代のイメージに引きずられてはいけない。たとえば、同じ場所から男女の骨が発見された場合、現代人はそれを「夫婦」だと考えてしまいがちだ。しかし、それは「きょうだい」かも知れないし、「主人と奴隷」の場合だってあるだろう(注4)。