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普通10年かかる課題を半年間で大きく促進した新型コロナ

――落ち着かない空気のなかで、浮足立ってしまった人も多いと思います。

三浦 僕自身、この状況を受けて、いい意味でも悪い意味でも焦ってしまったのですが、自分が社会に対して何か貢献しなくてはという強い感覚を持ちました。そこで弊社GOは、困窮する企業や自治体にアイデアをブレインストーミングして無料で提供する「プロブレ」(プロによるブレスト)という活動を期間限定で行いました。

 30社ほどに対応しましたが、コロナが起きたことによってマーケティング・コンセプトをどう変えればよいのかを提案したり、あるいは仙台市には、「アフターコロナ最速実装都市」というコンセプトをつくって、都市のあり方をアップデートするプロジェクトに協力したりしました。

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 新型コロナがもたらした大変化は、働き方改革など普通なら10年くらいかかりそうな課題を半年間で大きく促進したという良い面もあります。日本中でリモートワークや業務の効率化に真剣に取り組む機会となりました。そんなポストコロナという変化のスピードが早い時代において、これからのビジネスパーソンには次の3つの力が必要になると考えています。

 白か黒かで判断しない中庸力、指針のアップデートを恐れない朝令暮改力、そして人間中心に立ち返るクリエイティブな力の3つです。

“グレーの領域”で最適な在り方を見つける

――具体的にはどういうことでしょうか。

三浦 まず中庸力から説明すると、昨今「リモート賛成派ですか? 反対派ですか?」、あるいは「リモートのデメリットを教えてください」、逆に「対面の打ち合わせまだやってるんですか」みたいな、極端に振れる傾向が強まりました。でも白か黒かではなく、グレーの領域で、本当に自分たちの業態、企業にあった最適な在り方を見つけることが大切です。

 例えばサイバーエージェントは「ITという業態においてリモートはとても向いているが、われわれの社風には合わない」と言っています。毎週何曜日はフルリモートにするけど、笑顔を見せながらワイワイ楽しそうにやる社風だし、他の日はみんなで集まろう、と。つまり業態や社風に合わせてカスタマイズして、ベストな選択をしてるんですね。

 

 僕たちも、医療の専門家に相談のうえで3分の1ずつ出社、多数決で答えが出る会議は全部リモート、アイデア開発みたいなライブ感覚が大事な会議は対面、というルールにしています。会社の例で話しましたが、個々の仕事においても、雑駁な二元論ではなく、グレーゾーンで自分なりの答えを見つける思考のあり方がすごく大事になってくると思います。