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もともと店舗ごとで対応は異なっていた

――コロナ禍に関係なく、複数あるそれぞれの店舗で、異なった対応が必要になるわけですね?

荒川:その通りです。「そば処かめや」では、いなり寿司、おにぎり、そばは早朝5時からその日の分を作り始めます。これを毎日対応しています。各店で納品数は違いますから、その日の天気や、コロナの影響などを考慮して、私が発注数を減らしたり増やしたりしています。これを30年以上続けています。翌日に残さないように的確な量を考えなければなりません。最近の実績では、納品数と実売数は±3%の範囲にほぼ収まっています。

いなり寿司もおにぎりも自家製である

――コロナ禍によっても、発注数が左右されるわけですよね?

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荒川:もちろんそうです。なかなかシビアな判断が必要でした。天候の急激な変動時も予測しにくいですが、コロナ禍も同様です。24時間営業の店とそうでない店、立地による違いなどを考慮して考えます。ですから、途中で増産することもありますし、常に状況を把握しています。そうした最後の詰めの部分を社長がどう決断するかが重要なポイントです。

――その日の分は朝から作るというのはすごいスケジュールですね。

荒川:弊社の工場は神田須田町にあります。つまり、各店のいわば中心部にあるわけです。ですから、配達も都合がいいわけです。各店の従業員も朝5時に、店に着いてすぐに出汁をとり、つゆをつくり、天ぷらを揚げます。だいたい50分位で準備を完了する必要があります。

コロナ禍でもメニューなどに変更はなし

――コロナ禍では、提供するメニューなどで変えたことなどはありますか?

荒川:基本的に、変更はしていません。

「そば処かめや」では他店のように、ご飯もののセットメニューを増やしたり、新規メニューを開発したりすることは考えていません。あくまでも、そばを中心に、おにぎりやいなり寿司が定番のサイドメニューというシンプルなスタイルです。

――調理過程で気をつけていることは?

荒川:各店の従業員は出汁を毎日6回以上とっています。新宿店は10回以上とっています。つゆもその都度塩分濃度計で測定し、ブレのないように調整しています。つまり、こまめに作ることが大切です。

 コロナに限らず売り上げが減った場合、減ったことによる味の劣化は避けたいわけです。例えば、お客さんが沢山来店している時と同じペースで天ぷらを揚げてしまえば、その分売り切るまでの時間が長くなり、天ぷらの味は落ちてしまう。そんな場合、一度に揚げるロットを減らし、こまめに揚げるようにすることが必要です。出汁の取り方も同じで、普段より少量をこまめに取り、つゆを作るようにしています。