淳 「海軍」っていうやつ、めちゃめちゃ見たい!
小林 こうやって目の前に立つと、やっぱ気になりますよね。
淳 タイトルを見にいくだけでも、面白そうだもんな。
小林 そうなんですよ。こういう作品って、パッケージの表紙とか裏の惹句(じゃっく)に、「野良犬共の末路を見よ」 みたいな、とんでもないことが書いてあったりして興奮します。
淳 刺激的な言葉が眠ってるんですね。でも、最近はVHSのデッキを持ってる人がいないんじゃ……。
小林 あ、デッキも貸してくれるみたいです。
淳 まじすか。
小林 見てくれ! っていうエネルギーがすごいですよね。
淳 久しぶりにVHSをデッキの中に入れてみたいなあ。
小林 いいですよね。
淳 ガシャンと飲み込んでいく感覚は、やっぱあの機械にしか出せないもんな。
小林 やっぱり、配信とかに戦う気概も感じますね。壁一面に根性がある。
淳 ハハハ!
小林 そこでは、「AIのオススメからの解放! 日本でここでしか出来ない映画体験」ができるんです。Netflixとか配信サイトは、「あなたのオススメです。これが好きではございませんか?」って先回りして提示してくるじゃないですか。接待され続けてお行儀の良いものばかりを見せられる疲れって、あると思うんです。
淳 確かに、それはあるかもしれない。
小林 その疲れからは、ここでしか解放されませんよ!
淳 へえ!
小林 お行儀のいい映画って、人物や状況を長々と紹介してくれる構成なんですよ。でも、ここに並んでる作品って、今何が起きているのかを教えてくれない映画ばかりなんです。
淳 観客を置いてけぼりにしてる、と?
小林 そうなんです、全速力で置いてけぼりにしてくれる。具合が悪くなるくらいに。
淳 その体験の中から何かが生まれるんですか?
小林 生まれます。俺は、「これはどこに連れてこられたんだろう」みたいな思いが、映画の感動の根源的なものだと思うんです。だから、今日は淳さんに、自分が借りてひどい目にあった「オススメしない映画体験」の話をしたいなと。
淳 ぜひ知りたいです。
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