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「宴会で顔見せ、気に入ったらそのまま…」三重に実在する“ヤバい島”には消防団も警察も「慰安」に来ていた

『売春島』著者・高木瑞穂氏を「文春オンラインTV」が直撃!

2020/11/01
note

――基本的にはお客さんというのは三重県中心の男性客が多かったんですか?

高木 いや。地元の方は行くとしてもお忍びですね。どっちかというと、関西方面の団体客がメインでした。

置屋の内部。ここで売春婦たちが斡旋されていた(著者提供)

――「文春オンラインTV」への書き込みでも、「島に渡りましたが、島民の視線が怖くて結局何もせずに帰りました」というコメントがありました。

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高木 昔は取材で行っても、携帯電話を向けているだけで「撮ってるんじゃないやろな」って怒られたり、カメラを構えたりすることも憚られるような時代があったんです。今はもう全然そんなことはないんですけど。

 11年前に行った時は、取材で行っていたので、いろんな置屋を見て回って、なかなか決めなかったんです。そうしたらホテルのママが原付に乗って追っかけてきて、「あんた早く決めや」って怒られた(笑)。島中で「あいつら怪しい」ということになったみたいで。

渡鹿野島のメインストリート。旅館や置屋が建ち並んでいたが今は閉店した店も多い(著者提供)

――監視があったわけですね。

高木 そうです。ホテルのママから、初めて行った時に「うちの下駄を履いて行きなさい」と強く言われたんです。でも、そんなの僕らは聞かずに普通の靴で外出したんですけど、その下駄を履くとか、ホテルの浴衣を着ているというのが、「うちのお客さんだよ」という印。島ではホテルが一番強いんです。序列があって、ホテルや旅館が一番上で、置屋がその下。その下が客引き。

 ホテルに泊まったら「そのホテルのお客さんとして島で遊んでください」というスタイルで、置屋でオンナを買ったらホテルにリベートが落ちる仕組み。屋号が記された下駄や浴衣は請求書代わり、というわけです。

島にあった客引きに注意を呼びかける看板(著者提供)

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――売春行為が横行していて、警察が取り締まることはなかったんでしょうか。

高木 もう何回も摘発はされています。ただ、基本的にクスリと非合法の裏カジノみたいなギャンブルは駄目だけど、売春はお目こぼしみたいなノリでしたね。でも、定期的に何年かに1回、置屋が挙げられることがあるという感じですね。