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女性に薬物を飲ませ、集団で性暴行

 2019年、人気グループ「BIGBANG」の元メンバーのV.I(29)、同じく人気グループ「FTISLAND」元メンバーのチェ・ジョンフン(30)、ソロミュージシャンのチョン・ジュンヨン(31)などK-POPアイドルたちが「バーニング・サン事件」に巻き込まれた。

 江南(カンナム)の有名クラブ「バーニング・サン」で起きた暴行事件をきっかけに、クラブと警察との癒着関係が明らかになったこの事件は、捜査の過程で売春や麻薬取引、脱税、横領など、数々の悪質な不正行為が明らかになった。

 V.Iは「バーニング・サン」の経営者の一人で、海外の事業家たちを接待するために売春を数回斡旋したことが明らかになった。V.Iの仲間のチェ・ジョンフンやチョン・ジュンヨンは女性に薬物を飲ませ、集団で性暴行を加えた事実が明らかになり、K-POPアイドルの“不道徳さ”が世界に知れ渡ってしまった。

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 結局、チョン・ジュンヨンとチェ・ジョンフンには2審でそれぞれ懲役5年と2年6月が言い渡され、V.Iは現在、売春、横領など8つの容疑で裁判が継続している。この事件は、韓国社会において、アイドルの「人格」「道徳性」に対して、問題意識が本格的に提起される契機となったのだ。

NiziUのデビューシングルとなる「Step and a step」

背景にある「過酷な育成システム」の実態

 なぜ、韓国芸能界でこのような事件、トラブルが続発するのか。前出の大衆音楽評論家、ファン・ソノプ氏は、「アイドルの人格を巡る議論は、個人の問題を超えて、システムにも責任がある」と分析する。

「K-POPのアイドル育成システムは、世界的に大きな成功を収めたビジネスモデル。しかし、その陰では、幼い練習生たちが何年間も厳しい訓練と競争に苦しめられ、激しいストレスに晒されている。いつデビューできるか分からない不安感、同じ練習生たちを踏み越えて上がっていかなければならない競争意識、さらに合宿生活をしながら練習に邁進する日常のために孤立感が深まり、社会規範に対する理解が同じ年齢の若者より落ちてしまう。

 さらにトップスターになると、環境が180度急変し、みんなから急にチヤホヤされるようになる。そこでアイドルは内面的な混乱に陥る。結局、自己中心的な『自分が最高』という価値観を形成してしまい、ストレスを『人に当てる』という方法で解消してしまうようになるのです」

「NiziU」のプロデューサー、パク・ジニョン氏 ©getty

 アイドルの度重なる「人格」問題に対して、所属事務所の責任が指摘されていることから、最近は大手事務所が相次いで、人格教育や全人教育を取り入れたトレーニングを始めている。