『ボキャブラ』の仲間とギャラを発表し合ったら
——当時の芸人界はどういう空気でしたか?
モリ夫 何だろう。でも……残る人ってもう決まってたような気がしますけどね。数だけはたくさんいたけど、残る人は決まってた。私もあのままいたところで残っていたかは分からないけど、ただ、必要枠ではあったかなとは思う。痛い熱い言う女も必要だった。90年代はほんと独特ですね。
——『ボキャブラ』はどうでしたか。若手のスターをたくさん輩出した番組でしたが。
モリ夫 ほんとすごかったです。私たちになんでこんなキャーキャー言える?というぐらいの熱があった。
他事務所の方でね、「自転車を買いに行こうと思ったら途中に外車のショールームがあって、ベンツを買っちゃった」とか話してる。こっちは同じ番組に出てても自転車も買えないよ、みたいな。
——格差ですね……。
モリ夫 事務所によって全然違うなと思いました。当時、ネプチューンさんとかオセロとかと「今、ぶっちゃけギャラいくらもらってる?」っていう話になって、「モリマン一番仕事あるから最後にしよう」ってなったんですよ。みんなのギャラ聞いてたら、私らどんどん白目になってきて。1桁違いましたもんね。
——大トリで言わなきゃいけないのに。
モリ夫 みんな分かってたでしょ、っていう話ですけど(笑)。
「やる気あります」感は出してましたけど
——でも確かに、当時『ボキャブラ』に出ていた女性芸人というと、モリマンさんとパイレーツさんのイメージが強いですね。女性芸人同士の関係はどうでしたか?
モリ夫 うーん、そうですねぇ。吉本にいた女性芸人の先輩方はみんな仲良くしてくれてました。次々やめちゃいましたけど。
他事務所がちょっと嫌でしたね。同じ楽屋になったら、すごい業界くささを出してくる。マウントっていうんですか、でっかい声で「この間誰それと飲んだ」っていう自慢話を私に聞かせてくる。それはちょっとキモかったですね。
——ちょっと恐怖に感じていたのかもしれないですよね。モリマンさんにはそういう野心みたいなものがないじゃないですか。つかみどころがないというか。
モリ夫 何でしょうね。一応は「やる気あります」感出してましたけどね。ただ「トップに立とう」は絶対なかったんで。今、上沼恵美子さんを見てても、「やっぱりこうはなれないよな」と思ってしまう。そんな技術はないんです。