“新解さん”の愛称で知られる『新明解国語辞典』。9年ぶりの改訂版となる「第八版」が11月19日に発売となった。人間臭くて、読んで楽しい辞書といわれる“新解さん”は、新版で何に興味を持ち、何に怒っているのだろうか――。
赤瀬川原平氏のベストセラー『新解さんの謎』の担当編集者であり、自身も『新解さんの読み方』『新解さんリターンズ』(夏石鈴子名義)を出版した鈴木マキコ氏が、いち早く第八版に目を通して、読みどころをレポートする。
◆◆◆
「さおのように伸びたりする部分」とは?
11月19日木曜日いつもより30分早く家を出た。向かうのは神保町・三省堂書店本店。
待ってました、新解さん。八版が出るんだね。9年ぶりの改訂だ。ずっと楽しみにしていました。七版から何がどう変わったのか調べたい、そして八版はどの言葉を最初に引こうかな、と何度も何度も考えていた。きのうは、あまり良く眠れなかった。
新解さんの本名は、新明解国語辞典(三省堂刊)といって、パンフレットには『日本で一番売れている国語辞典!』と大きく書いてある。
「日本で一番売れている国語辞典!」ということは、地上で一番売れている日本語の辞典ということだ。わー、かっこいい、新解さん。よ、日本一!
そうです、新解さんは売れると思いますよ。何も不思議と思わない。もっともっと新解さんが売れて、日本の経済が回るといいと思う。みなさん、新解さんの八版を買いましょう。
新解さんとわたしが最初に会ったのは、中学2年生で13歳の時だった。クラスの男子に、
「辞書貸して」
と、言われたので、
「いいよ」
と、渡しました。
しばらくしたら、その男子は、
「時を置いてだぜ」
とか、
「さおのように伸びたりする部分だぜ」
と言って、ひいひい笑うのでした。