「女性」だったから出会えたこと
――全然違いますけど、私も「女だけのライターの大会に出ましょう」と言われたら、やっぱりちょっと嫌かもしれないです……。
加納 (笑)。あと一個大きかったのが、川上未映子さんが編みはった『早稲田文学』の女性号を買って読んだ時に、ムチャクチャ面白かったんですよ。でもそれ「女性号」ってくくってくれてへんかったら手元になかったというのもすごく感じて。女の人やから面白いとかじゃなくて、面白いものを「女性号」ってくくってくれたから出会えたっていうことに、めちゃくちゃ感動して。
今までTHE Wから遠ざかっていたのがめっちゃ恥ずかしくなったぐらい、すごい作家さんが詰まってて。だから、わりとこれは文学に助けられた部分もあります。
――すごい。文学の力、すごい。
加納 あれ、すごかったんです。
――そういう「囚われ」から抜け出すって、意外とそういうことなのかもしれないですね。
加納 ほんまは意識的に抜け出す理由を探していたのかもしれないし。かっこつけてるだけなんかもしれないんですけどね。
実は文芸好き――知られていない一面
――ちなみに女性号ではどれがお好きでしたか?
加納 古谷田奈月さんの『無限の玄』。ルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引書』もそうですし。
――もともと文芸がかなりお好きですよね。エッセイの中にもたくさん出てくる、本の話。加納さんのそういう側面はあまり知られてないですもんね。
加納 はずいですよね。いやいや。ちょっとはずい(笑)。
――あまり見せたくないところ……?
加納 芸人とは合わなくないですか? やっぱり「何言ってんねん」やから。「調子乗るな」と。
――知性匂わせた、的な(笑)。
加納 叩かれるから(笑)。「イキんな」って言われるから!
「ネタを書く」と「エッセイを書く」の違い
――もともと書くことに興味はありましたか?
加納 いやいや、全然ないわけじゃないんですけど、お話いただいたから書こうという感じでした。
――ネタを書くのと、エッセイを書くのって、違うものですか?
加納 そうですね。違うかもしれないですね。エッセイは……他の方は分からないんですけど、私の場合はまず「探す」。例えばスケジュール帳を開いて「この時何かあったかな」とか、過去の何かを思い出す作業からスタートします。
ネタは、ここにないところから取らなあかんというか。ちょっとやっぱり違うかもしれない。なんて言ったらいいんやろ。ネタはやっぱりゼロから1なのでしんどいですね。
――なるほど。
加納 エッセイは書き出してからのほうが迷います。