「女芸人ライブ=おっさんファン」の構図が崩れてきた
――それは、求められるキャラクターとしてですか。
加納 というか、ボーッとはしときたくないので。ぬるくなりたくはないけど、やっぱり劇場に女芸人がうちらしかおらんかったという時代が長かったし、それから比べたら、一緒に舞台踏めるやつが増えたし、うれしいんですよ。
――一番変わったなと思うのはどんなことですか?
加納 ライブで女芸人に票が入るようになったとかかな。票はわりと露骨かもしれないですね。あと、客席の男女比率がいい感じになってきたとか。
――客席の男女比が変わったというのは、女性が多かったのから半々ぐらいになったということですか? それとも逆?
加納 どっちもありますね。女芸人のライブは男のお客さんが多かったけど女性が増えたというのもあるし。だから「女芸人ライブ=おっさんファン」みたいな構図もたぶん崩れてきているのかなという。
――お客さんの側からも変化が来ているという感じなんですね。
加納 芸人界だけじゃなく、わりと世の中全体が生きやすい感じになってるのがお笑いに影響してるのか。
孤独だった上の世代と違って、今は横のつながりもある
――この特集で、山田邦子さん、モリマンのモリ夫さんとお話を伺って、当時の女性芸人の孤独や辛さを思うと、少しずついいほうに進んでるんだなって思います。
加納 そうやって、切り開いてくれてた方がいるからというのはもちろんあると思いますね。上の世代の方は個人で戦わないといけないことが多いし、芸歴が浅いままテレビでの露出が増えると、劇場で戦ってきた仲間もおらんままバッとテレビに出なきゃいけない。
女芸人は特に、デビューが早かったり、テレビで売れるっていうのが多いじゃないですか。劇場で勝っていくとかじゃなくて。だから、やっぱり孤独そうやなって思うことが多い。
今の女芸人は劇場も出てるし、横のつながりもある。他の人はどう思ってるか知らないですけど、私はわりと仲間意識っていうか、みんなで頑張っていこうって思えるから、あんまり「自分だけが」とは思わないのかもしれないです。
――3年前のその対談でも、ヒコロヒーさんとの『レイコーラジオ』でも「同性でなんかやりたい」というのはおっしゃっていましたよね。
加納 聴いてくださってありがとうございます。でも、『レイコーラジオ』でこんなぬるいこと言ってたら、あいつ(ヒコロヒー)にバチギレられますからね(笑)。「今は楽しいです」とか言ってたら。
――(笑)。
加納 怒っておかないと。何かにキレておかないと、あいつにつかまれるから。