都内でも「布のり」を練り込んだそばを楽しみながら、新潟の地酒がいただける立ち食いそば屋がある。新川や三田に店がある「がんぎ」である。
「がんぎ」のそばは、そば粉十割に「布のり」をつなぎに使っている。本格的十日町へぎそばなのだが、大変ユニークで麺線が丸いのだ。押し出し式製麺機で製麺しているのが特徴で、以前は四角い普通の麺であったが、今は丸麺になった。
提供スピードが追い付かず「丸麺」に変更
へぎそばといえばだれもが四角い木のへぎに入った、四角い麺を想像するはずだ。なので「がんぎ」のそばをへぎそばと呼んでいいかは意見が分かれるところ。しかし、食べればちゃんとしたへぎそばなのである。
「がんぎ」を経営する「い和多」の社長、岩田将東さんに伺ったところ、最初は四角い麺で、手振りでざるに盛っていたそうだが、人気となるにしたがって、製麺や提供のスピードが追い付かず、悩んだ末に丸麺に変更したという。味はまったく変わらない。むしろ向上したという。
「い和多」は丸政や大船軒などの老舗店と同様、駅弁販売から業を興している。ただ、そばは駅そばからスタートしたわけでもなく、「がんぎ」新川店を開業したのは平成4(1992)年。そばの世界には、わりと遅めの参入ということになる。
先代は十日町妻有(つまり)地方の出身。がんぎの創業のきっかけは岩田将東社長が本格的で手頃なへぎそばを食べたいという願望があったからだそうだ。
茅場町から永代通りを門前仲町方向へ歩いて、日本橋水門を越えると左手に「がんぎ新川一丁目店」が現れる。