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2020/12/11

『おちょやん』の初回は『エール』に負けず、エンターテインメント性の高いもので、演劇の前口上を取り入れていたのだが、『エール』がすごく好きなヒトにとっては完全に別物。残念ながら、『エール』から入った朝ドラビギナーは、『あまちゃん』のときのように、“朝ドラ”がいかに面白いかわかったから、これからも“朝ドラ”を続けて見てみようという気持ちにはならなかったのだ。

『半分、青い。』と同じ現象が起きてしまった

 この現象は、現代を舞台に恋愛要素を強化した『半分、青い。』(18年度前期)のときと近い。これは新たな層を獲得するための劇薬で、作家がTwitterで「神回」宣言したり、裏話をたくさんしたり、アンチを刺激する行為をしたりして、ドラマ以外のことで盛り上がり、視聴率をキープした。が、『半分、青い。』が好きな人は、やっぱり“朝ドラ”ファンではなく、『半分、青い。』のファンだった。

『半分、青い。』で主演を務めた永野芽郁 ©AFLO

 ふつーは、各々の作品が良ければそれでいいわけだが、“朝ドラ”ほど巨大なブランドになると、そうもいかないだろう。各作品のクオリティーを上げると同時に、“朝ドラ”としての存在意義も守らなくてはならないという難しい局面に立たされているのではないだろうか。

 昭和、平成、令和になって、いつまでも昭和の文脈でドラマも作れない。今は、だからこその試行錯誤をしているところだと思う。新しいものに目を向けることも大事ではあるが、表層的な部分で逃げ切るやり方では、60年継ぎ足された秘伝のソースは守れない。かといって、同じことを繰り返すばかりでも飽きられる。

『おちょやん』の貧しい少女が苦労するとか、お父さんがいつも酒浸りで働かないとか、夜逃げするとか、またか……と思ってしまう。それでも、いまが過渡期と辛抱して、なんとかモーニングルーティーンとしての存在価値を守り続けてほしい。

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