米国留学からサウナの道へ
「ある日、父が留学先に観光でやって来たんです。その時、『俺はもう病気で長くないから、帰って来て、サウナを手伝わないか』って。さんざん世話になったし、帰ってもいいかなと思って戻って来たんです。でも帰ってきても、親父は病気どころかピンピンしていました。酒ばっかり飲んで(笑)。
嘘だったんですよ。上手に演技して、『だまされた』って(笑)。最初は朝の風呂掃除から、フロントやって一通り。やっていくうちにレストランが一番の聖域になっていることが分かって。調理場は料理人がすごく強かったんです、当時は。もう料理長といったら墨入れてるやつとかいて。気に入らない事があったら『総上がり』といって、調理場の全員連れて辞めるような。だからオーナーも強く言えない。そういう時代だったんです。
僕はそういうのが嫌で、あっという間につまらなくなって。それで近くで居酒屋を始めましてね。店員を募集したら、給食センターのおばちゃんが2人来たんで、『じゃあ、おふくろ料理にするか』って。そのおばちゃんたちと一緒に、“おふくろ料理・大福亭”っていうお店を始めて。僕も一緒におふくろ料理を作ってました(笑)。
でも、おばちゃんたちが、リウマチだとか、脚が痛いとかいって休みがちになっていくんです。もう手が回らないから、総菜とかデパートに買いに行って出してました。お客さんが『これはうめぇぞ』って。『あたり前だろ、料亭の味なんだから』って(笑)。でもやっぱりこれはダメだなと思って、当時飲み屋の女の子とお付き合いしてたんですけど、『ちょっと手伝ってくれないか』と頼んで、彼女に接客に入ってもらった。お客さんの大半はうちのお風呂帰りにくるおじさんとかでしょ。だから喜んじゃって、380円で生ビール飲めて、若い女の子が接客してくれるといって、ちょっと流行りはじめたんですよ」
おふくろ料理からガールズバーへ。この頃からすでに、西生の常人とはかけ離れたセンスの片鱗が見て取れる。
熊本のクラブのナンバーワンがバイトに来た
「彼女に『ちょっと友達連れて来てよ』って言ったら、熊本のナンバーワンが、バイトに来ちゃって。普段日給5万円くらいの娘が時給700円(笑)。そしたらお客さん達が大フィーバーしちゃいまして。だって座っただけで3万とか4万とかとられる店の女の子の接客が380円で受けられるわけですよ。もはや、おふくろ料理は全く関係なくなって(笑)。さすがだと思いましたね、飲み屋のナンバーワンは。やっぱり人の力ってすごいなって、僕はそこで思ったんです。でも時給700円なんで、彼女はバカらしくなって3か月くらいして辞めていきました(笑)。
飲み屋は3年くらいやったんですけど、最後は結構借金が残っちゃって。最後に任せたお姉さんが金持って逃げちゃうし、閉めました。その間に湯らっくす本体も危なくなっていたので、戻ったんです。
その後は本格的に料理人と喧嘩しながらも、なんとかやっていきました。3回くらい総上がり食らいましたけど、3年ぐらいはとにかく堅実に収支をみて、経営をしていきました。そうしたら経営状態も次第に戻っていって。それでもう大丈夫だと思ったんですよね。そしたら、また勘違いしちゃって。頭を丸めて、出家したいって言いだして、僕が」
INFORMATION
湯らっくす
住所 熊本市中央区本荘町722
電話 096-362-1126
料金 大人(中学生以上)590円、小人(4歳~小学6年生)300円ほか
※営業時間などの最新情報は公式HPをご確認ください。
https://www.yulax.info/