九州新幹線を下車、熊本駅に降り立つ。からしレンコン、馬刺し……etc。数々の名産品の洪水に浸りつつ、駅ビルで“からしレンコンコロッケ”を腹に収める。これから始まる西の聖地での戦いの前哨戦だ。
タクシーに揺られ5、6分。そびえ立つ赤い看板が目に入る。
これから始まる、“サウナという名のテーマパーク”にライドオンする気持ちの高ぶり。入り口を入るとすぐに出迎えるMADMAXボタン。高所に並び飾られているサウナストーブ。すでにただものではないオーラがゴリゴリのお出迎えだ。
ロッカーでシックな館内着に着替え浴室へ。黒を基調とした落ち着いた浴室。蒸気に煙った世界で、裸の猛者たちが悠然と至福の時間を過ごしている。
じっくり蒸されながら、自分と向き合う
身体を清めスチームサウナへ。ここのスチームは尋常じゃなく温度が高い。ほぼ視界ゼロの薄暗い空間の中で、ゆったりとかく汗が、心地よい。
スチームサウナ後は、隣にある真打、メディテーションサウナ。セルフロウリュができるこのサウナは、天井が低く薄暗い空間に窓から外光が差し込む。室内にうっすらと流れる、この場所のために作られたメディテーション音楽。程よい湿度と温度の中でゆっくりじっくり蒸されながら、自分と向き合う。室内に置かれたラドルでサウナストーンに阿蘇山系の天然水をかければ“ジュワー”っというロウリュサウンドとともに立ち上る、柔らかい水蒸気とほのかなかんきつ系の香り。もう頭の中は真っ白、何も考えられない。
メディテーションサウナを出ると、目の前には湯らっくす最強のアトラクション、171センチの水風呂が。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をモチーフにしたという天まで伸びるロープと、それを上ることで初めて押すことができるMADMAXボタン。ボタンを押せば「マッドマックス 怒りのデス・ロード」さながらの阿蘇山系の水の恵みが脳天を直撃。その世界観と水圧に圧倒されつつ、命からがら休憩スペースへ。めくるめくサウナ体験で脳が混沌としているところへ、熊本のさわやかな風が頬をなでる。この落差に瞬時にととのう。ここは紛れもなくサウナという名のテーマパークだ。
唯一無二のぶっとんだ世界観と最高のサウナコンディション。その産みの親、オーナー西生吉孝の人生もまた波乱万蒸だった…。