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背後でまた音が聞こえた。振り返ると、依然その廃ビルの模型はベッド脇に鎮座している。
「イヤァァァァァ!!」
「タスケテ……ダレカァーダレカァァァァァァァ!!」
「ヤダヤダヤダァ!!」
「ギャアアアアアア!!」
ドチッ
ドチドチッ
ドチッ
再び繰り返される不気味な光景。
そして、その“寸尺のおかしい女”もまた、同じように現れ、同じように「アハッ! アハハハアハハアハハハハ!!」と高笑いをし、ドアの向こうに消えていく。
バタンッ。
ドアが閉まった瞬間、Sさんの父親の心には言い知れぬ“焦り”、まるで自宅のガス栓を開けたまま出てきてしまったかのような、逃げ出したくなる“イヤな予感”がこみ上げてきた。
ガチャ。
開け放たれるドア。繰り返される惨劇。消えない模型。
4回か5回か、それが繰り返されたとき、Sさんの父親はあることに気がついた。
「イヤァァァァァ!!」
「タスケテ……ダレカァーダレカァァァァァァ!!」
「やだやだやだぁ!!」
「ギャアァァァァァァ!!」
小さな女子高生たちの一人が、これまでのハイピッチなミニチュア声ではないのだ。
自分の娘の叫び声なのだ。
「いやだぁ! いやぁぁぁぁぁぁぁぁ――」