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「韓国軍に対してものすごく不信感を持ちました」

――軍旗に関して、河野さんは「私は仮に北朝鮮軍の旗であっても尊重する」と仰っていますね。

河野 北朝鮮軍の軍旗も尊重しますし、韓国軍の軍旗も尊重します。これがマナーです。常識なんです。これを降ろしてこいなんて言ってきたわけですから、こんなことは断じて受け入れられないんですよ。これはね、われわれの世界の感覚からいうと、もう無礼を通り越しているわけです。

 軍というのは国益を担って、ある場面ではお互いに戦う。ただ、そこいらの喧嘩とは違って、別に軍同士が憎しみ合って戦うわけじゃないんです。お互いに国益を担っている、大いなる使命を担っているという共有感がある。だから軍同士は互いに尊重し合うわけですよ。それを象徴しているのが旗であり、軍はお互い旗の下に戦うわけなんです。だから、相手の軍旗を尊重するというのは軍における常識であり、紳士協定であり、マナーです。おそらく、文在寅政権の青瓦台がこんな指示を出したんだと思いますけどね。

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――さすがに海軍軍人が考えたことではないだろうと。

 

河野 そう思います。しかし結果として、軍もそれに従ったわけですよね。体を張って止めていないわけです。こんな非常識なことをね。だから私は正直申し上げて、韓国軍に対してものすごく不信感を持ちましたね。

自衛隊における“軍歌”の存在

――当時の記者会見で河野さんは「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りの旗である」と仰っていました。本の中ではそれに関連して、『栄冠は君に輝く』という夏の高校野球の歌を引かれて、日本人には「いざ」という精神が大切なんだと説かれていますね。この曲はお好きなんですか。

河野 好きですよ。古関裕而さんの曲ですね。ちょうどテレビ(連続テレビ小説『エール』)でもやってましたね。

――古関裕而さんは海上自衛隊歌の『海をゆく』も作曲されていますよね。

河野克俊さんの著書『統合幕僚長 我がリーダーの心得』(ワック)

河野 いい歌ですよ、あれも。『オリンピック・マーチ』も素晴らしいです。

――古関さんは軍歌もたくさん作られていますが、ああいう曲についてはどう思われますか?

河野 名曲だと思いますよ。それを、戦争を遂行したという理由で批判される方もいますけど。でも、古関さんが偉いのは、それを隠さないことですよね。得てして、自分の見たくない過去だと言って、目を瞑ろうとする人もいるんですけど、古関さんは絶対そうじゃない。そこは本当に立派だなと思います。

 

――たとえば戦中でも、海に関係する軍歌がたくさんありますが、とくにお好きな曲はありますか。

河野 『海行かば』とか……非常に名曲だと思います。あとは『広瀬中佐』も好きですね(笑)。どちらも古関さんじゃないですけども。

――自衛隊の中では、戦前のそうした軍歌は継承されているんですか。

河野 されています。今はどうなのかわかりませんが、私のときは防大、それから江田島の(海上自衛隊)幹部候補生学校でも、軍歌を歌う時間がありましたから。江田島には、古鷹山という山があるんですけど、そこに登山訓練で登って、頂上からみんなで歌を歌うんです。それを下の学校まで聞こえるように、というのが確かありました(笑)。