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「無理矢理ちぢめて良いわけない」40年以上の観察でわかった“骨盤矯正”の意外な落とし穴

『女と骨盤』より #1

2021/01/04

source : 文春文庫

genre : ライフ, ヘルス, 読書

note

骨盤は休息期を教えてくれる

 骨盤は、なめらかに変化することで体調を支えています。途中でつかえずに次の状態に移行することができる、弾力と融通があることが大切です。コツは、骨盤がゆるんだときに休むことに尽きます。

 人によってバリエーションがありますが、骨盤が大きくゆるむと、以下のような「症状」が出ます。

 体重は変わらないのに、座っているときの太ももと腰のボリュームが増した感じがする。立ったときに両足の間の幅が広がる。ばかに眠い。料理、掃除、片付け、洗濯物をたたむといった、普通にできていた家事などがおっくうに。ボーッとしている内に一日が終わる。「認知症かも?」というくらい記憶力が怪しくなる。

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 こだわりが薄くなる。たとえばテレビを見ながら取るに足らないことでもらい泣きしたり笑えたりする。許せないこと、許せない人が少なくなる。

 冬眠に似ています。内臓の代謝も下がります。酒に強かったのが急に弱くなるような場合もあります。

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 もしこんなことに気がついたら、休息期です。短い期間の場合もあれば数年単位の長い期間の場合もあります。

 仕事をしている人は残業や休日出勤を強いられるような激務から離れ、できるだけ余裕のある生活を送ることを選択してみましょう。家事も、家族やアウトソーシングに頼るなどして、自分を甘やかせてみましょう。

 よく休むことで、よい転機になります。

骨盤ダイエットについて

 ちまたでいう「骨盤ダイエット」というのは、たとえば骨盤をベルトで固定したりして、骨盤の形をちぢんだ状態に矯正することで、痩せることを目指していることが多いようです。

 骨盤がその人のニュートラルな状態よりも、大きくゆるみっぱなしの状態だと、太りやすいのは確かです。骨盤が広がっているために太っているケースとしては、たとえば産後など骨盤がゆるんでいる時期に無理をしてしまい、骨盤が広がったまま固定してしまっている場合があります。そういうときは本人に潜在的にちぢむ力があるのなら、「骨盤矯正」によって骨盤がちぢんで痩せることも確かにありうるわけです。