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「無理矢理ちぢめて良いわけない」40年以上の観察でわかった“骨盤矯正”の意外な落とし穴

『女と骨盤』より #1

2021/01/04

source : 文春文庫

genre : ライフ, ヘルス, 読書

 ゆるんだり、ちぢんだりすることで、全身のバランスの変化をスムーズに移行させるための動きを果たす「骨盤」。重要な役割を持つ身体のパーツであるだけに、骨盤のゆがみを正してスタンダードな状態にすることで身体・精神の不調改善を目指す“骨盤矯正”は、健康意識の高い人々の間で、たびたび注目を集める。

 しかし、身がまま整体気響会の主宰者である片山洋次郎氏の著書『女と骨盤』によると、ベルトなどの器具を用いて骨盤の形をちぢんだ状態にする矯正には注意が必要だという。ここでは同書を引用し、片山洋次郎氏の見解を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

◇◇◇

緊張とリラックスが骨盤底部にもたらすもの

 楽しいときは、骨盤底部に過剰な緊張がなく、自然に適度なやわらかさと強さを併せ持つ状態が生まれます。結果的に、骨盤上部がちぢむための要として骨盤底部がいい具合に働きやすくなるのです。骨盤上部は、良い集中状態になったときには必ずちぢんでいますが、楽しいときは自然にちぢみやすいのです。たとえば大笑いしているとき、夢中になって楽しんでいるときなど誰でも自然にちぢんでいます。

 一生懸命集中しようとして、かえってうまくいかない場合があるのは、骨盤底部(=骨盤底筋)が緊張しすぎて「扇の要」として機能しなくなってしまったというわけです。

 どの筋肉についても言えることですが、弾力を失わないように、良い具合にちぢむためにはよくゆるむことが大切です。よくゆるむほどよくちぢむということです。

©iStock.com

 とくに近年は、仕事でも生活でも、ものごとのテンポが速く、気のゆるむ隙がありません。結果として慢性的に骨盤底筋がちぢんでいて、ゆるむことも、それ以上ちぢむこともできない人が多くなっているのが実状です。

 たとえばひどい便秘症や失禁の悩みを抱える人の骨盤は、骨盤底部がちぢめられないばかりか、ゆるめることもできない状態だったりします。

 ちぢめようとする前に、まずはゆるめることを目指すほうが、骨盤が引き締まる近道なのです。