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千葉、晴海、横浜…都心のすぐ近くにある「不思議な廃線」その正体は?

2021/01/11
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横浜臨港線・山下臨港線(@神奈川県)

 JR根岸線の桜木町駅で電車を降り、ロータリーを越えて東方向に歩き出すと、5分もしないうちに海が見えてきた。ランドマークタワーや、ヨットの帆のかたちをした高層ホテル、大観覧車など、いかにも横浜らしい港の景色が次々と現れる。観光やショッピングを楽しむ人たちで賑わう、みなとみらい地区だ。

 ここから山下公園の手前まで廃線跡が残っていることを知ったのは最近のことだ。こんな都会の真ん中で廃線歩きができるとは、神奈川県在住のテツ友に教えられるまで知らなかった。しかも、海風に吹かれながら、明治~大正期に造られた美しいトラス橋を4つも渡ることのできる黄金ルートである。

かつてあった「東横浜駅」

 桜木町駅のすぐ東側、いまはロータリーになっているあたりに、かつて東横浜という駅があった。東海道本線の貨物支線の一部で、横浜臨港線とよばれた路線の駅である。

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 横浜臨港線は大正9年(1920年)までに全線が開通、高島駅―東横浜駅―横浜港駅の4・3キロを走っていた。昭和40年(1965年)にはさらに横浜港駅―山下埠頭駅の2・0キロが開通、こちらは山下臨港線とよばれたが、扱い貨物の減少により両線とも昭和61年に貨物営業を終了している。

横浜臨港線・山下臨港線はまさに横浜の港沿いにある

 横浜臨港線の廃線跡は「汽車道」として整備されていた。ありがたいことにレールは残してある。

 ふだんの廃線歩きで出会う人といえば、農作業をしている人や、自転車通学の中高生くらいだが、さすがは横浜、犬を連れて散歩するお洒落な女性や、若いカップル、スーツ姿のビジネスマンまで、多くの人が行き交っている。