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パンデミック勃発!
もう帰っていいよと帰宅の許可が出たのに、憔悴した私たちはなかなか立つことができなかった。と、その時、
「あれ、なんだか……おかしい」
突然、左隣の男の子が苦しげに声を上げた。
なんだろうとそっちを向くと、その子の顔は真っ青を通り越して土気色だった。
「ちょっと! 大丈夫!?」
みんなが駆け寄ると、彼はガチガチと震えていた。ひどい熱がある! と、周囲が慌て始めた。なんと彼は、入社初日にインフルエンザを発症したのだった。
感染症の温床ともいえるコールセンターの環境
実はコールセンターというのは高温多湿で人が多く、そこで働く人々は一日中電話でしゃべっているという環境なので、インフルエンザを始めとした感染症の温床であり、むしろ培養槽といってもいいほどに病原菌が繁殖しやすい環境なのだった。
私もコールセンターで働くうちにインフルエンザ、ノロウイルス、ありとあらゆる病気が季節ごとにパンデミックするのを目撃してきた。
病原菌のパラダイスであるコールセンターで働く人々は、そこで働くうちに否が応でも抗体を作るのだけれど、まだ免疫のない新入社員はあっさりとコールセンター産のインフルエンザをお土産にもらってきてしまったのだ。
倒れた男の子を皮切りに、この“コールセンターインフルエンザ”は新入社員を次々と襲い、入社1週間で新人数人が病欠という状態を生み出した。まるで、この後の出来事を象徴するように――。
(これからどうなっちゃうの!?)
生き残りをかけたコールセンターサバイバル生活の、幕開けだった。