「私の正しいババアはいったい何歳なんだ」
——あの時はもうご結婚もされていたんですよね。
清水 そうです、そうです。出産もしてた。
——いじりにくさもあったのでしょうか。年上だし、あんまり無下に扱えないみたいな。
清水 そう。私の性格の悪いところで、ムッとする顔をすごい出すんです。今も時々注意されるんですけど。「ムッとした顔を出すな」って。
——当時はどういう言葉にムッとしましたか?
清水 「ババア」とか。あと「子産み」。
—— 「子産み」??
清水 もうちょっとひねれよという(笑)。今だと問題なんですけどね。
——そもそも27~28でババアってどういうこと……。
清水 でも、50を過ぎたら誰も「ババア」って言わないの。そうなるとすごい「ババア」って言われたいっていう(笑)。今は「ババア」って言われると「ありがとう、そんな親しみを持ってくれて」って思います。あれはありがたい言葉だったんだと思って。だって「清水さんにババアなんて!」みたいな感じになるじゃないですか、今なら。「私の正しいババアはいったい何歳なんだ」っていう話。
面白いことは男の子がやるもの、みたいなイメージ
——過去のインタビューで、クラスの男子が芸能人のモノマネをやってると「まだ表情が甘いな」と冷静に分析していたとおっしゃっていました。
清水 うん。「ちょっとだけよ」ね。カトちゃんの。
——自分の方が上手にできるのに「私がやったらみんな引くんだろうな。女って損だな」と思っていたという、その言葉がすごく胸に響きました。面白いことは男の子がやるものみたいなイメージは確かにありましたから。
清水 男の子がやるのが自然というかね。無邪気というか、子どもというか。女の子はやっぱり10歳ぐらいを過ぎると、何が恥ずかしいかという感受性が生まれてくるから難しくなるのかもしれない。まあ、「ちょっとだけよ」をモノマネする女の子なんて一人もいないしね。いくら何でも(笑)。さらにそれ、うまくても下手でもダメだろうし。
——面白い女性に憧れていた少女たちにとっては、清水ミチコさんの存在は希望だったと思います。「女というだけで何となく笑えない」という空気をうっすら感じている中で、清水ミチコさんのモノマネだったりピアノだったり、こういう笑わせ方もあるんだと教えてくれた。
清水 だったらうれしいですね。確かに明るいふざけ方は男子のほうがうまくて、もう少し私の場合は意地が悪い。基本意地悪なところがあるんですよね。前ほどは出さなくなりましたけど、昔の作品を見ていると「ひどいことをしてるな」って自分でも思います(笑)。